「0(ゼロ)で割ってはいけない」その理由について

あなたは数学界の禁忌である「ゼロ除算」をしっていますか?
ゼロ除算とは、「0」で割る割り算のこと。1÷0 や 10 ÷ 0 の様な計算のことを指し、数学の世界ではタブーとされている。
要は、「0で割る事はできない」ということなんですが、そういうことなんです。
小学校で初めて割り算を教わった時、「0で割ってはいけません」と教わった方もいるかもしれません。
僕はまったく覚えてはいないのですが、あなたはどうでしょうか?
イマドキの小学生は、すでにプログラミングの授業があるという。
という事は、当然簡単な計算式のプログラムを組むという初歩的な言語を覚えるはずです。
その時必ず、「計算式の中に「÷0」があれば、「ERROR」と表示する。それ以外の場合は、計算を行う」というプログラムを組みます。
例えばこんな感じで、
——————————–
if($b != 0){
$result = $a/$b;
}
——————————–
これは、割る数が「0」ではないかチェックするための指示(プログラミング言語)ですが、なぜわざわざ、「÷0」をチェックしないといけないかといいますと、バグ(プログラムの不具合)が起きるからです。
つまり、コンピューターが暴走してしまうため、「÷0」を回避して、バグらせないようにするため。
文系の人とか、プログラミング言語なんて、一切触れたことのない人には「?」かもしれませんが、好奇心旺盛な子供達は、こうくるそうです。
「どうして0(ゼロ)で割ってはいけないの?」
こう質問されたとき、最低限の説明ができるようにはしておいたほうがいいかもね。
どうしてゼロで割ると「エラー」になるのか
ではまず、本当に「0(ゼロ)」で割ると「ERROR(エラー)」になるかどうかを確認しておきましょう。
スマートフォンの「電卓アプリ」を開いてください。
あー、もちろんスマホアプリでなくても、家にある普通の「電卓」でオッケーです。
以下の計算式を入力し、答えを割り出してみて下さい。
6 ÷ 0 =
答えは当然「0」になりますが、「ERROR」(または「E」)表示が出ているはずです。
電卓にも、アプリにも、「÷0」を検知した際、「ERROR」、または「E」を表示させ、暴走させないようにプログラムしてあるから、でしたね。
ゼロで割ると、エラーになる。どんな数でも「0」で割ると、エラー扱いとして認識されてしまいます。
どうしてでしょうか?
まずは、どうして「0(ゼロ)」で割るとコンピューターが暴走するのかを解説します。
あなたは「人間」です。何かをしているとき、「これはおかしい?!」と気づいら、そこで一旦ストップさせることができる優れた頭脳をもつ「人間」です。
では、ここではとりあえず、「これはおかしい?!」と気づいたとしても、そこでストップさせることを知らない、「ストップしなさい」ってプログラムがされていない「ロボット」になってください。
意味わかんないですよね。続けますよー。
ここに1L(リットル)の水が入った水槽があるとします。その1Lの水が入った水槽の水を、200mlのコップに分けてみましょう。
するとこうなりますよね。
1回目:1L - 200ml = 800ml
2回目:800ml - 200ml = 600ml
3回目:600ml - 200ml = 400ml
4回目:400ml - 200ml = 200ml
5回目:200ml - 200ml = 0ml
つまり、1Lの水を200mlのコップに分けるには、5つのコップに分ける事ができるという事です。
計算式で求めると、1Lは1000mlなので、
1000ml ÷ 200ml = 5
ということです。
このくらいはわかりますよね。これが分からなければこの先の説明は絶望的です。
それではつぎ、いきますよー。
ここに1L(リットル)の水が入った水槽があるとします。その1Lの水が入った水槽の水を、「0(ゼロ)ml」のコップに分けてみましょう。
「0(ゼロ)ml」のコップという日本語が意味わからんのですが、何かこう「ザル」みたいなコップで、何度すくっても、全くすくえない穴だらけのコップだと想定してください。
先ほど200mlのコップで試した時は、5つのコップに分ける事ができました。
では、「0(ゼロ)ml」の穴だらけコップでは、いったい何個のコップが必要なのでしょうか?
すると、こうなります。
1回目:1L - 0ml =1L
2回目:1L - 0ml =1L
3回目:1L - 0ml =1L
4回目:1L - 0ml =1L
・・・・・・
・・・・・・
あれ? これはおかしい?!
おっと、「これはおかしい?!」って思ったあなた、あなたは今、「これはおかしい?!」と気づいたとしても、そこでストップさせることを知らない、「ストップしなさい」ってプログラムがされていない「ロボット」になっているはずですよ。
続けてください。「0(ゼロ)ml」の穴だらけコップでは、いったい何個のコップが必要なのを、答えが出るまで、続けてください。
10回目:1L - 0ml =1L
(中略)
100回目:1L - 0ml =1L
・・・・・・
(まだまだ続く、永遠に)
もう、わかりましたか?
これが、コンピューターが暴走している証拠です。
「÷0」を検知した際、「ERROR」、または「E」を表示させるプログラムを言語で制御しておかないと、永遠に「解」を探し続け、バグってしまうのです。
そろそろ、「人間」に戻りましょうか。かしこい頭脳をもつ人間は、ある整数を「0」で分けることはできない、いや、分けようとしてはならない。ということに気づく。
だからあえて、「ゼロで割ってはいけない」という定義をするようになった。ということなのである。
数学の世界において、「ゼロ除算」がタブーであることが、少しは理解できたでしょうか?
割算は、逆数を掛けること
では、実際に、数学の世界観での「ゼロで割ってはいけない」理由について解説してみます。
なぜ、「ゼロ除算」を禁忌とするのか?
一言でいってしまうと、「0(ゼロ)には逆数が存在しないから」
ぜんぜん、わからないですよね。
まず、「逆数」とは何か?
例えば、5の逆数は 1/5(5分の1)、7の逆数は 1/7(7分の1)。
このように逆数は、分数の分母と分子をひっくり返すことで、簡単に求めることができる。
これは知ってらっしゃるという前提で、話しを進めますよ。
逆数というのは、掛けたら必ず「1」になる数字である定義が成り立つのです。
「1」の逆数は「1/1」なので、
1×1/1(逆数)=1
となる。
5×1/5(逆数)=1
7×1/7(逆数)=1
・・・
というように、逆数を掛けたら「1」になる数字である定義が成り立つのです。
しかし、例外的に「0」には逆数が存在しない。
なぜなら、「0」には何を掛けても「0」になるので、「かけたら1になる数」、つまり「逆数」が存在しない。
「0×1/0=0」
これは、0の逆数は存在してはいけない。絶対に。
というように解釈してください。
これが、「0で割ってはいけない」理由につながっていきます。
割算とは、次の定義がある。
「割算は、逆数をかけること」
つまりこういうことです。
6÷2=6×1/2(2の逆数)
理解できますね。というよりこのくらいの計算方法は知っているはずです。
つまりは、6÷2とは、「6の逆数である1/2」をかけること。である。
「割算は、逆数をかけること」の意味を理解していただいたでしょうか?
だとするならば、「割り算」が「逆数をかける」ということは、「0で割る」とは、「0の逆数になる」という意味になる。
だが、先ほど説明したとおり、「0」に逆数は存在しません。
「0」に何をかけても「1」にはならないためだ。
「0の逆数は絶対にそんざいしてはならぬのだ!」
つまり、「0で割る」とは、「0の逆数(存在してはいけない数)になる」
もうおわかりですね。
「0で割る」とは、存在してはいけない数である
いかがでしょうか?
とてつもなく回りくどい解説となりましたが、ゼロで割る数は定義されてはいない。
数字というものは一見便利で正確なデータを割り出すが、こういった不可解なことにもなりうるということ。
難しいようだが、考え方によっては非常におもしろい。と思いませんか?
結局「わからない」という人へ
いかかでしょうか?
「ゼロ除算」をご理解して頂いたでしょうか?
おそらくですが、なんとなくわかったようで、わかっていないような。ではないでしょうか?
そりゃそうです。「0(ゼロ)」というのは、存在しない数字だし、逆に無限大である数字でもある。
そんなものを相手に、「コレっ」て解説ができるわけないんですよ。そもそも。
だから、あえて「ゼロで割ってはいけない」という定義が定められているのです。
しかし、好奇心旺盛な子供は、問いかけます。どこまでも、どこまでも、存在しないゼロの行方を突き止めようとしてきます。
そんな背水の陣に立たされたとき、あなたならどうしますか?
もうこうなったら、「うまく話をそらす」しかありません。
例えばこんな。
今、手元に電卓、またはスマホの電卓アプリは開いたままになっていますか?
その電卓で、他人の誕生日を見事にあててしまう。という子供だましのマジックをしてみましょう。
まず、あなたの生まれ月に「4」を掛けます。
その答えに「9」を足して「25」を掛けて下さい。
生まれ月(a)× 4 = (b)
(b)+ 9×25=(c)
次に、先ほど割り出した(c)にあなたの生まれた日にちを足してください。
(c)+生まれた日にち=(d)
そして、最後に(d)から225を引いてみましょう。
(c)ー225
= あなたの誕生日です。
カラクリを解説しておきます。
非常に単純。数式にすればすぐに理解できます。
生まれ月をa、生まれた日をbとします。
すると計算式は、
(4a+9) × 25+b-225 となり、
=100a+225+b-225
=100a+b+(225-225)
=100a+b+0
=100a+b
となります。
つまり、「225」を「0」にするところがこの計算式のカラクリ。
100の位と1000の位が生まれ月、10の位と1の位が生まれた日という、3桁または4桁の数字に必ずなります。
あなたが今、電卓でやったように、他の誰かに電卓を渡し、今の流れをいいながら、自ら操作してもらってください。