上位商品に乗り換えてもらう「アップセル」の販売手法

上位商品に乗り換えてもらう「アップセル」の販売手法

Aさんは、美容目的のためにサプリメントを購入しようと思い薬局に行きました。

目に付いたのが、美容にいいといわれているコラーゲンやヒアルロン酸入りのビタミンCの「○○サプリ」。

Aさんは、以下の2つのどちらにしようかを迷っているようです。

「1箱90粒入りで、2,500円」

「1箱180粒入りで、4,800円」

継続して摂取するつもりではいるが、とりあえずは試しという事で、「1箱90粒入りで、2,500円」の購入を決めた。

早速レジにて精算を。買い物かごを持たずにそのまま商品をレジ台に置き、バックから財布を取り打ている時、嫌気のない笑顔の定員さんが、淡々とした口調で始まった。

「只今、期間限定キャンペーンで、1箱180粒入り4,800円が20%引きの3,840円になっておりますがいかがでしょうか?」

(ハイハイ・・結構です。イイから早く精算して・・)

と、いつもは「おすすめトーク」は聞き流す Aさんですが、なぜか冷静になり、頭の中でこうよぎった。

(もしかすると、普通に買うと損かも・・。期間限定ってことは1カ月後は定価になってるってこと?継続して服用するつもりだし、どうせなら安いうちに180粒入りを買っておいた方が得だ!)

さて、あなたも Aさんのような経験はありませんか?特に、継続して購入する予定の商品であればなおさらお得な買い物がしたいと思うはず。

ヒトが購買行動を起こす要因は、「快楽を求める」「苦痛から逃れる」のどちらかが要因となります。そして、「快楽を求める」よりも、「苦痛から逃れる」の方が強い行動要因になることが知られている。

これを心理学では「損失回避の法則」と呼ばれています。つまり、上記の定員さんの販促トークは、買い手の「損するのはイヤだ」という人の損失回避の心理を上手に使ったのだ。

「損したくない!」をついた “ アップセル ” の販売戦略

航空券の激安チケットの広告コピーを以下のAからBに変えたところ、問合せ件数が10倍になったという。

A「経費削減は、まず航空券から。航空券予約時にまずご一読を」

B「まだ、ムダ金を航空券に使いますか? 」

Aの見出しは、割引を前面に出して「お得な買い物ができる」という快楽を強調しています。一方、Bは「ムダ金を使う」という苦痛から逃れる側面を押し出しています。これが反応率10倍の違いを生んだ、と分析されている。

このように、人は「自分が損をするのでは?」という感情に対しては「お得感」よりも何倍も敏感に反応する。

ある商品の購入を考えている客に対し、希望よりも上位で高い商品を勧める販売手法を、「アップセル」 または、「アップセリング」といいます。

「アップセル」の特徴は、客単価・売上アップとなり、様々なビジネスにも使われる戦略です。ただ、間違った使い方をしてしまうと、それは単なる「押し売り」。

アップセルを生かせるのは「購入の意志がある買い手」にするセールスだということ。人間は商品を購入するとき、購買意欲が高まった状態になっています。

その購買意欲が高まった状態で商品を販売すると、通常の心理状態のときよりも販売しやすいというデータがあります。つまり、売りやすいタイミングでセールスできるのがアップセルの最大の特徴。

単品購入から定期コースへと導くオファー

50代以上の約3割が健康食品をほぼ毎日利用しているとされる。サプリメントを含む健康食品が近年、人々の「健康志向」は留まることを知らない。

ヘルスケア用品やサプリメントを含む健康食品などを扱う「健康市場」は巨大な産業にまで成長した背景には、高齢者の割合が増し、健康に対する関心が強まっていることが挙げられる。社会がどんどん豊かになり、生活習慣病の予備軍が増えてきていることも要因となっているのだろう。

健康市場は、通常のマーケットとは違って明確に「結果」を求められ、ユーザーが抱いている「効果」や「使い心地」などに対する不信感や不安を取り除くような巧みなマーケティングが施されています。

例えば、群雄割拠の激戦市場ともいえるサプリメント系では、トライアルオファーといって、お試し期間として、初回限定の割引や返品保証などの特典を設け集客し、さらに定期コースへと誘導する「アップセリング」を施すマーケティングが一般的です。

さて、私としては正直、サプリメントの効果云々に興味はありませんが、健康市場のECサイトやLPはマーケティング戦略においては相応の「サプリ効果」があると思っています。

激戦区なだけに、企業間での切磋琢磨のマーケット戦略は是非とも参考にしたい。

初回購入時のオファー、定期コース誘導のアップセルの手法など基本的な戦略で参考になると思います。

それでは、「○○サプリ」の単品リピートユーザー獲得の定期便コースへと誘導する「アップセル」の事例を見てみよう。

●「○○サプリ」は1パック(120粒入)

● 通常価格7,400円に送料をいれて、7,900円

サプリメント普通、継続しないと効果がでないとされている。

この「○○サプリ」を、仮に3ヵ月継続購入するば 23,700円、1年間継続すると、94,800円もの費用が掛かります。

サプリを始め健康市場はトライアル層が主なので、大抵は自身(買い手)で商品を試したのちに、継続して購入するかどうかを判断します。

まずは、初回限定購入時の魅了的なオファーを設ける必要がある。

例えば、次の「お得コース」の事例ではどうか。

必見!【51%OFF!】3ヵ月間継続の「△△お得コース」

1パック7,400円を3ヵ月継続購入で23,700円のところを、「お得コース」なら3ヵ月で51%OFFの12,300円!

なんと、11,350円もお得!

その秘密は・・

1回目は、初回限定特別価格で「実質無料」!送料500円のみ!

2回目と3回目は送料無料で、さらに特別価格 25%割引の5,925円!

たった1コインでタップリ1カ月分!

さらに初回限定、安心の「90日間返金保証付き」

「△△お得コース」は3ヵ月継続が条件となっています。

4回目以降もず~っと送料無料の特別価格 5,925円!

いかがでしょうか?オファーの内容を箇条書きにしてみると、

1回目(商品0円・送料500円)=500円

2回目(商品5,925円・送料無料)=5925円

3回目(商品5,925円・送料無料)=5925円

500円+5,925円×2=12,300円

初回購入価格を送料のみの500円にすることで、ほぼ「無料で試せる」オファーとなってます。

とはいっても、すぐに飛びつくほど買い手の財布のひもは簡単には緩みません。

例えば次のように考える方もいらっしゃるかもしれない。

「数日間使用して満足しない場合、単品7,900円での購入と比較して、4,400円も損する可能性がある」

(コース:12,300円-単品:4,900円)

すなわち、次のような選択肢もある。

「やはり単品購入にしておいた方がいいのか?」

でも、続けて2パック目を買うとなると、7,900×2で、15,800円となり、3,500円を結局損したことになる。

(単品×2パック:15,800円-コース:12,300円=3,500円)

この買い手のジレンマを一刀両断するのが、初回限定、「90日間返金保証付き」人が商品を知り、購入という行動を移すまでには、心の中でいくつもの変化や葛藤があります。

最後の最後で「購入しようか、やっぱりやめようか」と迷っているときにポンと背中を押してくれるのが、この返品・返金保証サービス。

少なくとも損はしない。購入したいが、それよりも損しないことに購買意欲は大きく傾く。また、「商品によほど自信がないと出来ないだろう」と消費者は感じとるため、商品に対する信頼感をアップさせるといった意味でも効果的です。

では、実際この「△△お得コース」を購入したとしましょう。

すると、商品とともに、次のチラシが同封されているとします。内容は次の通り。

「3パック定期便」の変更すると、年間10,648円もお得!

「△△お得コース」のご利用者必見!お得な定期コースのご案内です!

4回目以降の1パック特別価格5925円を1年間(12回)お届け場合、
5,925円×12回=71,100円で、
3カ月事にお届けする「3パック定期便」にご変更しますと、
1パック5,037円となり、3パックで15,113円とさらにお得!

つまり、15,113円×1年間(4回)=60,452円
年間10,648円もお得!

「△△お得コース」で4回目以降続けて購入した場合、1パックは特別価格25%割引の5,925円です。それを、「3パック定期便」にすると、さらに特別価格36%割引の5,037円になるオファーです。

この秘密のチラシは、「「△△お得コース」を購入いただいたユーザーのみ知る事ができる特典です。考えてみて下さい。4回目以降継続して購入したいと思うユーザーは少なからず効果を実感されています。

だとすれば、1カ月事に注文する手間が省け、しかもさらに特別価格になるのであればこちらの定期便へと移行したくなるはずです。販売側にしてみると、単品購入の一元ユーザーから、定期便購入下さるリピートユーザーへと誘導したこととなります。

これが、「アップセリング」です。収益力強化のために行う「アップセル」ですが、うまくいっている企業ほど、お客様にとっての「メリット」が生まれるように設計をしています。

決して「押し売り」ではなく、価格やベネフィットなどの面でより魅力的に映るよう、商品の設計や売り方のトークを作り込んでいることに気付いてほしい。お客様に商品の利用により強くコミットしていただき、Win-Winの関係を築いていくため、「アップセル」活用が大切。