相手の「分かる」に置きかえる “ 伝わる文章 ” の書き方

相手の「分かる」に置きかえる “ 伝わる文章 ” の書き方

「知る」と「分かる」は違う。

例えば、「国債費とは何か?」

国債費 = 利払いや償還費用、事務取扱費の合計

学生の時、こんな感じで丸暗記した記憶はありませんか?

教科書に書かれている言葉をそっくりそのまま、ただ暗記だけして「知ったつもり」でいた。

しかし、内容を理解していないのである。「国債費とは利払いや償還費用、事務取扱費の合計」は何も間違ってはいないが、その意味を何も分かっていないのです。

つまり、国債費のことを「知る」ことはできたとしても、「分かる」ことはできていない。

私達は、知る事はできても、わかっていないまま、情報をインプットしてしまっていることが多々あるようです。

もう一つ例えてみると、「ウェブ(Web)」とは何かについて、あなたは説明できますか?

Webサイト、Webページとか、「ウェブ(Web)」という言葉は、頻繁に使われるでしょうが、説明してくださいといわれると、ちゃんと説明できない。ではないでしょうか?

仮に私が、「ウェブ(Web)」について、次のように説明したらどう思いますか?

「ハイパーテキストと呼ばれる仕組みを利用してインターネット上の様々な情報を関連付け結びつけるためのシステム」です。

分かる人もいるでしょうが、ITに関する知識がない人にとっては全く理解できそうもありません。

では、次のように説明してみるとどうでしょうか?

「ウェブ(Web)とは、インターネットで見れるページや動画などを見れるようにするための技術のことをいう。」

これなら、何となく分かりそうです。

冒頭の「国債費とは何か?」でも、「ローンの返済のようなもの」と説明されると、すぐに理解できそうです。

私たちは、言葉や事象を「知ってはいる」が、「分かっていない」、その意味をちゃんと理解していないことが多くある。

どうです?「そういわれてみるとそうだなぁ」って思ったはずです。

ブログやSNS、ホームページ、メール。今では言葉を通じて、相手に伝える事が多くなりました。

しかし、相手にちゃんと届いてはいるが、その内容はちゃんと伝わっているのだろうか?

読み手は、そこに書かれていることを「知る」ことはできても、内容を「分かっていない」かもしれません。

今回のテーマは、「伝わる文章」についてです。

「わかりやすさ」は「正確さ」より優先される

読み手に理解してもらうためには、読み手が分からないといけません。

では、そもそも「分かる」とはどういうことなのでしょうか?

例えば、先ほどの「国債費」の説明を、「利払いや償還費用、事務取扱費の合計」といわれても、わかりません。

なぜなら、「利払い」「償還費用」という言葉を知らないからです。

一方、国債費とは、ローンの返済のようなもの。と説明されるとすぐに理解できます。

「ローン返済」という言葉の意味を知っているからです。

つまり、読み手にとって、新しく見聞きしたことが「自分の記憶にある情報と合致するかどうか」で「分かる」「分からない」を瞬時に判断しているという事です。

ウェブとは、ハイパーテキストを用いたネット上のシステムです。と説明されても「ハイパーテキスト」という言葉の情報が、自分の記憶にある情報と合致しない限りは、理解のしようがありません。

「ホームページを見るための技術です」と説明されると、すぐに理解できるのは、「ホームページ」という言葉は、自分の記憶にある要素と合致するからです。

要は、これまで見た事や聞いたこと触ったことなどの記憶の範囲内の説明でないと分からない。ということです。

「分かる」とは、すでに持っている知識と新たな知識がつながったときようやく、「分かった」「理解した」事になるのです。

随分と当然のことを言っているようですが、果たしてどれだけの人がこの事に気を使って情報を発信しているでしょうか?

相手に伝えるために、「正確さ」が優先され、「分かりやすさ」が希薄になってはいないでしょうか?

正確な情報は、「知る」ことはできても、「理解した」とはいえません。

分かりやすい情報は、「理解した」そのあと、その本質を「知る」ことができるのです。

「わかりやすさ」は「正確さ」より優先される。

伝わる文章において、わかりやすく書くその気配りができるかどうかが、書き手の能力云々ともいえるかもしれません。

「誰もが知っていること」でたとえる

読み手が「分かる」「理解する」とは、本人が持っている記憶と合致した時である。と説きました。

それはつまり、難しい言葉を、一般的に誰もが知っているであろう言葉に置き換えることで分かってもらえる。という事です。

そんな時に、便利なのが、「例え話」です。

「サーバー」についての説明をするとします。正確な説明をすると次のようになる。

サーバーとは、ネットワークでつながったコンピューター上で、他のコンピューターにファイルやデータなどを提供するコンピューターのようなもの。
わかりやすくいうと、ホームページをつくた時にそのホームページを置くスペースの事です。

何となく分かりそうですが、もう少しわかりやすい「例え話」に置きかえてみます。

「家」を建てるときは必ずその家を建てるための「土地」が必要です。「ホームページ」を作った時も必ずネット上の「土地」がいるのです。
ホームページが “ 家 ” なら、そのネット上の “ 土地 ” の事を「サーバー」というのです。

いかがでしょうか?「ホームページ」と「サーバー」を「家」と「土地」に置きかえた例え話です。

実際このような事例を用いて、私が説明していることもまぎれもなく「例え話」です。

もし仮に、読んでくださっているあなたが、「分かった」のであれば、私の「例え話」は成功です。

と同時に、「例え話」がいかに伝わるかを知っていただけるかと思います。

ですが、実は、例え話というものは、そう簡単に思いつく事ではないのです。

実際私も、よく例え話を用いて執筆しますが、相当考えに考えてチョイスしています。

なぜなら、例え話はいってみれば、「分かった気にさせる」ための遠回しの説明です。なので、本来説明すべき内容と、例え話の内容とが、ちゃんとリンクして本質を外さないような最適な事例を用いなくてはならない。

下手すれば、間違ったり解釈をされてしまう恐れがあるのです。

「例え話」を最適に活用する方法

例え話を活用するには、まずは伝えたい内容の「本質」について考える必要があります。ここでの本質=最も伝えたい・重要性が高いことを証明できるものを指します。

これが間違っていると論理が破綻してしまい、何を言いたいのかわからないものになってしまいます。

そこで、私がいつも例え話を取り入れるとき、「そもそもそれって何?」と考えます。

「税外収入」について説明をする時、税外収入とは、その名の通り税金以外の収入です。

税金以外の収入を「そもそもそれって何?」と考えた時、余分に入ったお金。つまり、「へそくり」なんてことに例えたりできそうです。

「そもそもそれって何?」という活用法は、その言葉を抽象化し、その概念レベルで考えることです。

リンゴなら、果物。サッカーなら、スポーツ競技。というように、その上位レベルのカテゴリに戻り、同じカテゴリ内の他の事例を探すやり方です。

伝わる文章とは、相手の「分かる」とが一致しなくてはいけません。

相手が「分かる」とは、知っている範囲内での言葉を用いる事でより理解は深まるというもの。

正確に伝える、気持ちをこめて伝える、という以前に、「わかりやすさ」を優先させよう。

文章を書くのに、テクニックとかで何とかしようという考えは私は好きではありませんが、唯一、テクニックがあるとするなら、「例え話」はオススメのテクニックです。