他人を説得する、人の心を揺さぶるために最低限必要な心得

他人を説得する、人の心を揺さぶるために最低限必要な心得

今の自分がどうであれ、自分を愛し、守り、自分の人生を切り開いていくことに自身で責任を負う。

他者から悪く言われたり、挫折するような体験をしたりしても心の深い部分は揺らぐことはない。

他人に関係なく、自分のことを大切な存在だと思う心を、「自尊心」という。

人は誰しも、他人に受け入れられ、自分の存在を価値あるものとして肯定したいと思っています。

「自尊心が高い」とき、自分をしっかりと持っていられるが、 逆に「自尊心が低い」状態であるとき、自分を見失い様々な悩みにつながってしまうことさえある。

人がその気になるとき、ならないとき

人をその気にさせ、行動してもらうためにはどうすればいいか?逆に、人がその気になり動くのはどんな時だろうか?

毎朝同じ時間に起きるのはなぜか。例えば、仕事に行くため、弁当をつくるため、学校に行くため、散歩をするためだったりさまざまな理由があります。

寝坊して会社に遅刻すれば上司に叱られます。学校に遅刻すれば先生に注意されたりします。というのは日本だけかもしれませんが。

このように、「不利益を避けるため」に否応なしに毎朝起きざるを得ない。と思う人も多いはず。

人からの評価が下がるのを避ける、自己評価が下がるのを防ぐ、つまり、「自尊心が傷つくのを回避するために動く」といえる。

では、仕事をするのはどうしてですか?

一つに、収入を得るためだったりします。その理由に、生活をするため。または、生活のため、食べていくためだけでなく、より快適な暮らしをしたい、趣味や嗜好、やりたい事や夢実現のための資金など、様々な理由で働く人もいます。

然るに、仕事をする理由はただ収入を得るためだけではなく、社会的な評価や老馬の智を得るため、人との関わりを学ぶためだったりする。

学校にいくのも、勉強や運動を先生、教師に教わるためだけでなく、友達と仲よく遊んだり、ときには喧嘩をしたり、恋をしてみたりなどさまざま。

お金を得られる、快適な生活を得られる、名誉を得られる、友情を得られる、つまり、「自尊心を満足させるために人は動く」ともいえるだろう。

人は、自尊心を満足させるため、あるいは自尊心が傷つくのを避けるためにその気になり動く。のであれば、

人を動かす “ 問いかけ ” ストーリー

人を説得し、行動してもらうためには、命令や指示といった一方的な説得ではなく、相手側の意向をうかがうための、「問いかけ」が必要です。

相手の自尊心を満足させるような「問いかけ」をするか、相手の自尊心が傷つくのを避けたくなるような「問いかけ」をするか。

一つの事例をみてみよう。

「AIプロセッサ対応のスマホを友達に見せて、うらやましがられたいと思いませんか?」

というのは、自尊心を満足させようとする一つの「問いかけ」です。

では、次の「問いかけ」ではどうか?

「今後あらゆる支払いはキャッシュレス化が当たり前になります。スマホ決済ができないと少し恥ずかしいかもしれませんよ?」

というのは、自尊心が傷つくのを避けようとさせる一つの「問いかけ」です。

人の自尊心に訴えかけその気になり動いてもらう「問いかけ」を実現させるポイントは、「感情」を動かし、その後「理性」で正当化できるようにしてあげるプロセスが必要。

人を動かす「問いかけストーリー」を作らなくてはいけない。

例えば、テレビ通販番組は忠実にこのプロセスを守っています。決して最初から値段が出したりはしません。

まずは、視聴者の抱える悩みや問題点を認識させ、理想の姿や悩みを解決できる事をイメージさせ、欲求を喚起させます。その結果消費者がその商品を欲しくなる。「感情」が動くわけです。

「これが欲しい!」という感情を十分に煽った段階の後、ようやく値段を明らかにし、あれこれ考えている段階で、分割払いや金利ゼロなど、「理性」が購入を正当化しやすいような情報を提供する。

さらに購入を正当化させるために、「こちらの商品もお付けします」などの情報を提供する場合ある。

「人は感情でモノを買い、理屈で正当化する」といわれますが、紐解くと、「自尊心」を満足させる、あるいは傷つくのを避けさせる「感情」を動かし、「理性」が購入を正当化させる「問いかけ」が人を動かす。

「問いかけ力」または、「質問力」はセールスを成功へと導くだけでなく、人との関わりや自身の気持ちさえも左右する力があるのだろう。

説得を成功させるにはどうすればいいか?

人は、相手から指示されたことよりも、自分で思いついたことに従うもの。

そのためには、「指示」や「命令」口調よりも、「問いかけ」や「質問」をするべき。

人に説得をする時、商売のセールスは然り、Webサイトのランディングページなど、こちら側が主導権(=イニシアチブ)を取ってしまっていることはよくあります。

人は自分に主導権があると、迷うことなく行動するが相手側に主導権があるとき、自尊心を守るべくその行動にためらいが生じます。

説得を成功させるにはどうすればいいか?

主導権が自分側にある限り、相手を説得することはよほどの権力者でない限りは難しいといえる。

日常生活をしていると、誰かを説得しなくてはならない状況は必ずあります。人によって考え方が異なるために、何でも自分の思うようにいくことはありません。

まれに自分の主張を強引に押し通すことができるかもしれないが、その後の人間関係が悪影響となることも。

説得とは、無理に「押し付ける」ことでなく、相手に「納得」してもらうこと。

では、どうすれば説得が納得になるか?

説得が納得に変わる「振り子の原理」

説得とはこちら側の提案だと思われがちですが、実は、提案とは相手の意見や意向をどれだけ “ 聞くか ” が大きくかかわっています。

分かりやすい例えを用いると、振り子やメトロノームがあります。

振り子やメトロノームは振った分だけその力は反対側に振りかえします。

この「振り子の原理」は、相手の意見や意向をどれだけ聞いてあげられるか?という「聞く力」が、こちらの「説得力」に比例するということ。

つまり、こちらの言い分を聞いてほしいのであれば、それと同じだけ相手の意見を聞く必要があるという事です。

振り子の原理は、相手に与えた分だけ、またその相手からも「お返しをしたい」返報性の原理に准えます。

「説得」を「納得」に変える問いかけ

人に説得するためには、相手の言い分を聞くことが大切。

ならば、相手の意見や意向を聞き出すための「問いかけ」や「質問」をしなくてはいけません。

「説得」と聞くと、自分の思うように相手を動かすというニュアンスがある。なので、自分の主張を強引に押し付けようとしてしまいがち。

しかし、それだと相手は反発するのは必至で、無理に合意させたとしても不信感や警戒心を持たれてしまう。

では、次のよくある日常のシーンで例えてみよう。

夫が家族で温泉に行きたいと思っているとします。

夫が妻にこう尋ねます。

「家族でどこか旅行にでもいかない?」

すると妻は、

「いいわねぇ。私、ずっとイタリアの絶景青の洞窟に行ってみたいと思ってたの!どう?」

と返事をします。そうすると夫は、

「予算がねぇ。国内の温泉でゆっくりしたくない?」といったとします。

さて、気づいているでしょうが、夫の妻へと説得はすでに「失敗」。すでに、「イタリア VS 国内温泉」の対立構造になってしまっている。

仮に夫が、歌いすぎた喉のように乾いてほてるまで説得したとしても、説得は成立しないであろう。

説得のシナリオを作るというのは、相手の感情や思考をコントロールし、会話のイニシアチブを取る事にあります。

では、次のような説得のシナリオを組み立ててみてはどうか?

まず、休日の昼下がりにでも宮崎駿監督作品の「千と千尋の神隠し」のDVDを妻と鑑賞する時間を設けます。

当作品には「油屋」という神秘的な建築物が登場します。そして、夫は次のような会話を仕掛けます。

「この油屋って油を売る店じゃなくて、“ 湯屋 ”の意味らしいよ。」

妻:「そうなの? つまり、温泉って事でいいのかなぁ?」

夫:「そういうことになるね。」「ちなみに、ここに出てくる油屋の建物っていくつかの温泉がモデルになってるって知ってた?」

妻:「え、知らない。どことどこ?」

夫:「いちばん有名なのが、長野県にある“ 渋温泉金具屋 ”と愛媛にある“ 道後温泉 ”らしいよ。」 「ホームページで一度見たことあるけど、いかにもモデルに使われそうな建物の風格は圧巻だよ。」

妻:「そうなの?行ってみたいね。」

夫:「じゃぁ、年末年始は予約でいっぱいだろうから、2月上旬にでも家族で行ってみる?」

妻:「行く行く!」

夫:「じゃぁ、長野と愛媛どっちに行きたい?」

妻:「長野はちょっと寒さが厳しそうだから愛媛がいい。」

夫:「決まりだね。ロケ地訪問って、聖地巡礼といって期待と好奇心が入り交ざった不思議な感動は単なる旅行とは違った一種独特の雰囲気があるらしい。」 「映画の感動をその場でリアルに感じるアトモスフィアを体験しようよ!」 「すぐにでも、調べて計画立てておくね。」

自分の行動や選択を自分で決めたいという欲求

いかがでしょう?先ほど失敗した説得のシナリオとは打って変わって成功率が格段に高まっています。「家族でどこか旅行にでもいかない?」では、会話の主導権は妻にあります。

オープンクエスチョンで選択の自由となり、イタリア旅行に行きたいという「感情が喚起」されてしまった。

一方、映画鑑賞で温泉に対する興味を潜在的に高めるために、モデルになっている温泉がある、「神秘的な建物」を見てみたい、ロケ地訪問には独特の感動があるなど、興味を喚起させる説得材料を打ち出すことで、すでに家族旅行の選択肢は必然的に「温泉」であることが自然と決まっています。

すると、妻の選択は、温泉に行くか、それとも行かないか、つまり、「イエス」か「ノー」かどちらかの返答に絞り込むことに成功した。

説得するなら、あなたに主導権を持ち込む「問いかけのシナリオ」を作らないと成功しない。

それを裏付ける理由に、人の心理が働きます。人は自分の行動や選択を自分で決めたいという欲求がある。

他人から強制されその欲求が奪われると、例えそれが自分にとってプラスの提案であっても無意識的に反発的な行動をとってしまう。

リアクタンスとは「抵抗」を意味し、自分の行動や選択を自分で決めたいという人間本来の欲求が犯されると思うと、無意識にこの「抵抗」が発動してくるとされる。

子供の頃、「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」と親に言われた経験はありませんか?

そんな時、「今やろうと思ってたのに~」という思いとともに、全くやる気が無くなってしまった記憶があるのではないでしょうか。

また、友人などに「お前はあいかわらず○○だよな!」などと決め付けるような発言をされると、「全然違うし・・決めつけるなよ!」などと反発心が募ることもよくある事です。

このようなやりとりを「心理的リアクタンス」という。

では、相手のリアクタンスを招かないようにするにはどうすればいいか?

それはあなたの「言い方」次第です。

「問いかけ」または、相手をその気にさせる「質問」をすればいい。

人は他人から押し付けられる事は嫌いだが、「自分で決めた事」には従順に従う。

つまり、人を説得し行動してもらうためには、一方的に説得している事を悟られないようにする。

相手側自らが思いついて決断するようにしむける「問いかけ」「質問」することがカギとなる。

相手の自尊心を満足させる、または自尊心傷つくのを回避させる問いかけや質問をして、感情を喚起させ、いかにもイニシアチブは相手側にあると思わせることだ。

どうですか?もしかすると、いかにも相手の感情をコントロールさせる悪戯な「洗脳」だと感じ取ってしまうかもしれません。

ですが、ここで述べる「問いかけのシナリオ」は、「○○真理教」で知られる破格的カルトや××学会、△△教団のような「洗脳」とは全く違います。

カルト的なマインドコントロールは、相手の弱みに付け込みいかにも救いの手を差し伸べるかのようにして感情をコントロールさせることだとされる。

痛いところを突かれた人は、どうしても攻めてくる人に強く出れません。この瞬間に小さな上下関係が生まれます。特に明確な目的がなくても、自分の影響下に置いておくことで心が満たされてしまう。

取引を成立させるため、利益を得るための陰険な手法ともいえよう。

一方、事例で紹介した夫が妻にした「温泉の説得」は、相手の欲求やニーズを引き出すための「問いかけ」「質問」だ。

千と千尋の神隠しのDVD鑑賞の際、「実在する温泉旅館に行ってみたいと思わない?」というように、夫の一方的な事情はなく、妻の本来ある欲求を引き出すための説得です。

また、相手の決断を求めるには、選択肢を限定することも大切。

実際、千と千尋のモデルになった温泉旅館は、「道後温泉本館」「渋温泉金具屋」「湯原温泉油屋」「四万温泉・積善館の本館」・・・など他にも複数あるとされます。

ですが、全ての旅館を答えてもかえって相手を悩ませることとなりかねない。

できれば2つか3つくらいの選択肢が最適。

たった1つの選択肢ではいかにも、初めから「ここに行きたい」とこちら側の謀計を呈していると感じさせてしまいかねないが、2つか3つの選択肢なら、選ぶのは相手側にあると感じれもらえます。

同じことを伝えるにも、言い方次第で相手の受け取り方は違ってくる。

問いかけやあなたの質問力に磨きをかけてみる試みをしてみてはいかがでしょうか。