無意識の習慣はパターン化された手順通りの型(かた)

これから、少し変わった姿勢(ポーズ)をとってもらいます。
その少し変わった姿勢のやり方手順を書きますので、もしよろしければやってみて下さい。
まずは、両足をそろえ、直立不動の姿勢で立ってください。
そして、膝を少しだけ曲げ、やや、かがむ姿勢をとります。
そして、肘を曲げ、両手を胸のあたりでもってきます。
まず、両手の人差し指を合わせる。
それから、左手の中指から小指までを折り曲げる。
その上にかぶせる右手の中指と薬指の先はやや宙に浮いている状態にする。
右手の親指を内に曲げて、その上に左手の親指を乗せる。
何やら神に祈りを捧げているようなポーズでもあるし、子供が行う悪戯の「カンチョー」でもするかのようなポーズになります。
できましたか?
説明の手順が少しわかりにくかったかもしれませんね。
このようなポーズになります。

(画像引用元:五郎丸歩勝手に応援団!より)
この拝むような姿勢で、抜群の正確性とキック力を放つ、ラグビーの五郎丸選手の「五郎丸ポーズ」は記憶に新しい。
初めて見た時は、ほとんどの人が「いったい何なの?」って思ったし、あまりに特徴的なポーズなので「つい笑ってしまった」方もいたのではないでしょうか。
何をやっているのだろう、何がもたらされるのだろう。
これは、試合中の大事な局面でのキックは観客の目が集まり、平常心でいることが難しい状態になってしまうので、いつもの練習どおりに平常心を取り戻し、ボールに集中させるためです。
いわば、いつもと同じように自然とリラックスして集中した状況へと戻るため、同じ動作を繰り返すことを「ルーティン」という。
「ルーティン(routine)」の語源は、「ルート(route)」です。「ルート」には “ いつも通る決まった道 ” という意味があります。
なので、あなたも明日から、会社のプレゼンとか、商談とか、大事な 集中力を要するシーンの前に、精神を統一を高めるために、「五郎丸ポーズ」をしましょう。
ということではありません。なぜなら、これは五郎丸選手だけのルーティンであり、五郎丸選手だけの「型(かた)」だからです。
大事なのは、カンチョーポーズではなくて、「手順通りの型(かた)」にあるのです。
プログラムがインプットされたのロボットのように、一切の狂いがない、いつも同じ動作をくりかえすパターン化させることが、僕たちの「習慣化」の力になるのです。
ルーティンは「手順通りの型(かた)」である
「ルーティン」という言葉をすでに知っている方もいるでしょうし、一度は聞いたこともあるでしょう。
一般的な認識では、ルーティンは「スポーツ選手のゲン担ぎ」のように思われているかもしれません。
一番有名なのは、やはり元大リーガーのイチロー選手でしょう。
みんなが知ってる打席での打ち方は、イチロー選手のルーティンです。しかし、イチロー選手のルーティンの取り組みは、打席でのしぐさだけでなく、生活そのものをルーティン(パターン化)させていた。
詳しい内容は割愛しますが、とにかく、一日の生活の中で、こだわりのルーティンがあったとされます。
他には、フィギアスケートの羽生結弦選手が、演技を始める前にする十字を切るポーズ、体操の内村航平選手が、跳馬の前に右手を伸ばし、左手でトントンする動作など。
ですが、ルーティンとは、トップアスリートの方が本番で集中力を高めたり、パフォーマンスを最大限に発揮させるためだけではありません。
重要なのは、パターン化させた「手順通りの型(かた)」にあるのです。
実は、僕たち一般人も、実生活のなかで、ちゃんとパターン化させた「ルーティン」をおこなっていることに気づいているだろうか?
たとえば、歯磨き。あなたの歯磨きの動作はどういった流れになってますか?
たとえば、洗面台の前に立つ → 鏡にうつった自分の顔を見る → 右の棚に置いてある歯ブラシを右手でとる・・・・
など、こまかい動作の手順は、毎回同じパターンになってたりしませんか?
歯磨きの時だけでなく、朝出かける時の動作や、帰宅後にする事など、いろんなシーンで知らず知らずに自分だけの同じパターンをしてることってあるよね。
この、あなただけの、毎回同じ動きのパターンこそが、あなただけのルーティンなのです。
そして、そのあなただけのルーティンは、必ずと言っていいほど「習慣化」されているはずです。
尚且つ、そのあなただけのルーティンは、ほぼ「無意識」にやってるのではないだろうか?
そう、習慣化になるというのは、無意識にやってしまうパターン化された動作であり、プログラムされたように毎回同じ流れ(手順)になっているのです。
僕たちは、何か新しいことを習慣化させたいと思い、「よし、今日から続けるぞ!」と意気込みます。
だがどうでしょうか。そのやる気の決意はいずれ消沈してしまうことはあるはずです。
やりはじめは頭の中で「続けるぞ」という決意を鮮明に描いてはいるのですが、日を重ねるごとにその初めた時の決意は忘れてしまうのです。
忘れてしまうから、続かない。そうなんです、だから「やる気」だけでは習慣化させることは難しいのです。なぜなら、毎回「続けるぞ」という決意を保ち続けなければならないから。
ちょっとしんどいですよね、できそうもないですよね。
だから、僕たちは「習慣の力」を利用する必要があるのです。
僕たちが元々持っている習慣の力とは、無意識でする歯磨きなどの、自分だけのパターン化させた「手順通りの型(かた)」にあるのです。
たとえば、毎朝「勉強する」をルーティン(パターン化)させようとします。
1.まずは朝、1秒も違えず同じ時間に起きる2.次に、同じルートをたどる3.そして、いつもと同じ、勉強専用机に座る4.そこには、いつも使う勉強道具がある5.当然、同じノートを使う6.そして同じ時間に勉強を始める
大事なのは、手順(流れ)。パターン化させるんは、プログラムされた順番通りの動作がポイントです。
一連の流れを確立させ、それを繰り返すことで、やがては習慣になる。むしろ、この動作に逆らえなくなるはず。なぜなら、無意識でやってしまうからです。
繰り返しになりますが、ルーティン(パターン化)させるためには、一切狂いのない、毎回同じ動作やしぐさをする「手順通りの型(かた)」を作ること。
習慣化は「型稽古」で作られる
あなたは、「型稽古」という言葉を聞いたことがありますか?
空手や柔道など、武道をしている人は、聞いたことがあると思います。空手で言うと、「組み手」と「型」という形式があり、組み手の稽古のように自由に相手と技をかけあうのではなく、決まった正しい基本の動作を体に覚え込ませる練習です。
学生の部活動で球技をしている人でも、素振りなどのフォームを身につけるための型稽古はちゃんとあります。
なぜ、このような型稽古を繰り返しするのでしょうか?
それは、頭で考えなくても反射的に動けるようにするため。無意識にその動作ができるようにするためです。
ですが、どうして、パターン化させるのに、「順番通り(手順)」でなくてはいけないのでしょうか?
たとえば、アルファベットは「A、B、C、D・・・」というように「A」から「Zまでスラスラ言えるはずです。他にも「あいうえお、かきくけこ・・・」というように「あ」から「ん」まで順番通りにスラスラといえます。
ところがです、アルファベットを「Z」から「A」まで、逆から言ってください。といわれるとどうでしょう。スラスラ言えますか?
「Z、Y、X、W・・・」
言えないはずです。
「ん」から、「あ」まで、逆からスラスラいってみてください。
やっぱり、言えない。ほとんど不可能に近いものがあるはずです。
実は、人間の脳は、特定の順番に従って覚える性質があり、覚え込んだ順番で物事を思い出すことはできても、それをランダムに思い出すしたり、逆順で思い出したりするのはむずかしく感じるのです。
あいうえお、かきくけこ、さしすせそ……と進んでいけば、難なくすべてのひらがなを思い出せても、すべての順番を逆からたどるのは、それほど容易ではない。
だからこそ、パターン化を記憶させるためには、「順番通り(手順)」がたいせつなのである。
いかがでしょうか。「習慣化」させる方法の一つとして、パターン化させた「ルーティン」を作ってみるのもいいかもです。
習慣化とは、自らに一定の規範(ルール)を課し、実践することで、自分のリズムを掴むということです。