「顧客の要望」を形にするか、「潜在的な願望」を形にするか

「顧客の要望」を形にするか、「潜在的な願望」を形にするか

顧客の要望、顧客ニーズを汲み取ることは重要。

顧客の要望というのは、今の商品やサービスに満足していないことである。

商品開発するときには、「お客様のご要望」を第一に優先し、ユーザー目線で企画・開発することが基本。

「リサーチ」「顧客調査」「ヒヤリング」をもとに多額の予算をとって調査をかける。女子高生を集めて商品企画するような会社もあるという。

ターゲットにしている人たちへ事前にニーズを調査しているため、製品を提供する際、その人たちの「顧客満足を確実に満たす」ことができるからです。

例えば、車の開発例でいうと、「燃費の良いスポーツカーがほしい」というお客様の声が多く集まったとする。

ご要望に応じた「燃費の良いスポーツカー」を開発したら、ターゲットの満足度は満たされることとなるでしょう。

このように、市場や買い手の立場に立ち、意見やニーズを調査し、製品開発を行うことを「マーケットイン」という。

マーケットインは、顧客の顕在化しているニーズに対応するものだと言える。

マーケットインのメリットは、ニーズへの適合を優先するため、一定の需要を確保することが期待できる。

つまり「失敗しない」商品展開が望める可能性がある。

しかし、「顧客が望むものだけ」を作るので画期的なものが生まれにくい点がデメリットとして挙げられます。

なぜなら、「リサーチ」「顧客調査」「ヒヤリング」、女子高生の意見など、一般ユーザーが望む要望には限界があるからです。

「マーケットイン」の偏りには限界が生じる

一般の人に「どんな商品が欲しいですか?」とヒヤリングしたところで、斬新で画期的なアイデアが出る可能性は低い。

主婦の方も、ビジネスパーソンも、女子高生も奔放な想像力を持つ商品開発者ではありません。

顧客というのは「素人」です。発想も「素人」の域を超えることはできかねない。

勿論、豊かな発想を持つ人もいるが大抵は、既にある商品やサービスを基とするため、「もう少しコンパクトししてほしい」「こんな機能を追加してほしい」など、類似した後発商品の開発にとどまってしまう。

米アップル社創設者であり、CEOであったあのスティーブ・ジョブズ氏は、次のような名言を世に残した。

多くの場合、人は形にして見せてもらまで、“ 自分は何が欲しいのかわからない ”ものだ

つまり、人は自分が叶えたい夢や希望を想像することが明確であったとしても、それを叶える「商品」を創造することはできない。

どんな形で、どんな機能があるかなどを思いつく能力はなく、商品化してみることで「これが欲しかった」と気づくものだという事です。

確かにその通りだ。

一般ユーザーに要望を求めることは、その期待通りのモノしか生み出されない。

これは、会社で上司に言われたことを、「言われた通りにこなしただけ」に等しい。

つまり、マーケット・インに応じた商品開発は、100点を目指すものであり、120点を目指す必要がなくなってしまう。

一般人の生活調査に応じ分析を通じて課題を抽出し、それを解決するコンセプトを設定し、それに従って具体策をつくるという思考は、その先をさらに深く考えようとしなくなるともいえる。

するとどうなるか?

競合他社との差別化がなくなり、「価格競争」に走るか、無謀なコスト削減の策に至ってしまう。

「顧客の要望」に偏り過ぎる商品企画やコンテンツ制作は、限界があり、いずれ市場を埋め尽くし競争は激化する。

すると、地価を持った大手が有利となり小規模企業や個人のウエブサイトは瞬く間に跳ねられるのは必至だ。

形なき理想をカタチにする「プロダクトアウト」について

顧客ニーズに応じた商品開発は「すでにあるもの(顕在ニーズ)」故に、衰退はすでに始まっている。

お客様の要望を起点とする「マーケットイン戦略」をどうとらえるか?

かつてない切り口や尖った新奇的な発想を持つ顧客が放つ少数派意見であれば、そこにはビジネスチャンスが眠っているかもしれない。

だが、アンケートを集計して汲み取った顧客のニーズは、5年後・10年後、いや、来年の今ではそのニーズは陳腐化している可能性は高い。

なぜなら、顧客の意見やニーズは、時代の影響、テクノロジーの変化、生活・価値観の変化などから、常に変化しています。

すでに起こっている変化は、すでに過去のものになりつつある。

分かりやすいモノに、流行ものは博打的要素が強く、流行現象が起こっている時点ですでに衰退は始まっているからだ。

すでに競合商品の存在があれば、二番煎じとなり、単なるモノマネでしかなくなります。

大量の資本投下や超速行動でガツンと先駆者を潰さない限り、弱い競争力と低い利益率に甘んじざるを得ません。

これが、「ニーズを聞いて商品を開発すること」という視野の狭い視点でのマーケットインの問題点とされている。

さて、消費者が望むモノ、市場が要求しているモノを視点とするマーケットイン戦略とは異なる、「プロダクトアウト」という手法がある。

プロダクトアウトとは、顧客ニーズを視点とせず、「作り手の視点」を優先させた商品開発の進め方をいう。

つまり、ユーザが何を望んでいるかではなく、開発現場のメンバーの視点で良いと思う基準で商品開発する手法だ。

マーケットインとプロダクトアウトの違いを分かりやすく記すと、

マーケットイン=売れるモノを作る

プロダクトアウト=作りたいモノを売る

マーケットインの考え方では「消費者の求めるモノ」を開発することであり、それは「消費者の求めるモノ」しか世に出ないことになる。

一方、プロダクトアウトの考え方は、「顧客がまだ気づいていない本当に求めているモノ」を開発する可能性が高く、新たな市場を形成する。

ただ、プロダクトアウトは、「優れた商品を開発すれば必ず顧客に受け入れられるはず」という考えを元に商品開発を進めるが、顧客の反応が提供者の望んだものであるとは限らない。

今までになかったユニークなものが生まれやすくなる利点はあるものの、傾倒しすぎると、独りよがりなものになってしまって、誰からも共感されないものが生まれてくる可能性があるということです。

新たな市場を開拓する「求めているが形になっていない」もの

つまり、マーケットインとプロダクトアウトには、それぞれメリット・デメリットがあり、要はバランスがとても重要となる。

しかし、この解答ではあまりに抽象的すぎて捉えにくいかもしれない。

もう少し、具体的に表現すると、「コア」と「サイレントマジョリティー」を融合して形にする、という一つの答えが見つかる。

ここでいう「コア」とは、個として持っている深部(核)にある願望、望み、欲求だと捉えて下さい。

つまり、「自分が実現したいと考える理想の未来」のことを意味します。サイレントマジョリティーとは、「声には出さないけど、見込み客の人が共通に抱えている悩みや願望」のこと。

コアとサイレントマジョリティーに共通しているところは、“ 求めているが、形になっていない ”

サイレントマジョリティという潜在的な悩みや望みを形にするには、顧客のニーズという限られた枠内の発想に捉われず、個の自由な発想を元に商品開発を進めることで、形なき理想の未来を叶える。

マーケットインとプロダクトアウトの融合とは、顧客の潜在ニーズと開発者の実現したい理想の融合バランスこそが、今後の新たな市場を開拓するものではないかと考察している。