アウトレットモールは何故安い?その仕組みと人気の秘密

アウトレットモールは何故安い?その仕組みと人気の秘密

買い物と観光スポットの両面を併せ持つ施設として人気を集める「アウトレットモール」。

1993年に日本初のアウトレットモール「アウトレットモール・リズム」(現在は閉業)の開業を期に地方を中心に建設が進み、郊外に立地しているのにもかかわらず、多くの買い物客で賑わい人気を博している。

全国のアウトレットモールで最も人気のある三菱地所・サイモンが展開する御殿場プレミアムアウトレット。まちがいなく国内最大級のアウトレットだ。

2019年 御殿場プレミアム・アウトレットへ行く前に!見どころをチェック – トリップアドバイザー

今年度4回目の増設で、約100店舗が新規加入、富士山を一望できる8階建てホテル。日帰り温泉を含めた施設の開業を機に、御殿場エリアを世界に誇れるショッピングリゾートへと進化させ新たな集客増へと進化。

同社が手掛ける国内2位の「神戸三田プレミアム・アウトレット」の約1.7倍と2位以下に圧倒的な差をつけ、独走状態を続けている。

アウトレットの魅力とショップ構成の特徴

アウトレットモールと聞いてどういったイメージがありますか?

「アウトレット=お得な買い物ができる」という印象を持たれるかもしれません。

アウトレットモールに訪問される方には「お得」だと感じる人もいれば、「欲しい商品がみつからなかった」「意外と高かった」という人もいるようです。

なぜそれほどまでに意見が分かれるのか?

考えられるのは、買い物に対する目的や求めているモノが違う。

出店舗のほとんどが高額ブランドショップ。

「プラダ」や「クロエ」「アルマーニ」などラグジュアリーブランドや高級インポートブランドが同社の他の施設と比べても多く集積しているのが特徴で、業種別テナント構成はファッションが約5割、靴・バッグが約2割、スポーツ・アウトドアと雑貨がそれぞれ約1割ずつ、残りが飲食などを出店されています。

※ラグジュアリーブランドとは、ルイヴィトンやシャネル、グッチ、エルメスなどの高級ファッションブランドの事を差します。

ショップで販売されているモノは、在庫が余ってしまったキャリー商品、ワンシーズン前の型落ち品、販売終了した廃盤品、僅かなキズがついてしまったB級商品など、いわゆる「訳あり品」がほとんどです。

しかし、こういった訳あり品は、数が限られているのですぐに完売してしまう可能性がある。年中オープンしているショップの在庫品をキープさせることはできません。

アウトレットモールには、年中開催できるバーゲン会場を保ち利益を存続させるために、新商品を実店舗に置く前に試験的に販売してみる「サンプル品」や、アウトレット店舗でしか手に入らない、アウトレット専門品も取り扱っています。

ブランド志向の高い人にとっては「お得」な買い物をできるが、ブランド品にそこまで興味がない人にとっては街のセレクトショップの方が「お得」かもしれません。

つまり、アウトレットモールで「お得な買い物ができる」という思い込みはしないで、「掘り出し物があるかもしれない」、「お目当てのブランド品が格安販売してるかもしれない」というように、「商品購入」の目的だけでなく、ショッピングを楽しむ目的で訪問されるといいかもしれません。

個人消費が低迷する現在も、全国各地に新たなアウトレットモールの出店が続いている。

休日はレジャースポットとしても人気の御殿場プレミアム・アウトレットは、土日になると高速道路の出口前から渋滞ができるほど。2時間待ちでもとうとう駐車場に入れず諦める人もいるとされています。

その人気の背景は「いつでもどの店でもバーゲン」という仕組み。いわば常設のバーゲン会場。バーゲンの季節を待たずとも、常に正規価格より安く品物が手に入る特徴があります。

今では身近になった「アウトレットモール」ですが、なぜブランド品が安いのか?、どうして僻地にあるのか?、儲けの仕組みはどうなっているのかなど、思えば数々の疑問点があります。

ということで、今回からは「アウトレットモールの秘密」と題して、その魅力と販売戦略に迫ってみようと思います。

アウトレットの販売戦略と人気が廃らない理由

そもそもなぜ、アウトレットが誕生したのか。単純にその理由をいってしまうと、「売れ残りを効率的にさばけるから」です。

メーカーが商品を生産し販売する際には、どうしても一定量の「売れ残り」が発生する。

例えば、洋服。シーズンや流行の機会を逃すと瞬く間に売れ残りが生じます。

もちろん定期的なバーゲンセールを開催してさばくのも手ですが、ショップ側としては儲けが減るためやはり値引きは避けたい。

それに、お客さんがバーゲンセールの開催を待ってしまう可能性もある。

売れ残りが生じないような生産量にすると、機会損失が発生する可能性があるためある程度の売れ残りを覚悟の上で生産します。

また、製造や輸送のときについてしまう「キズモノ」。一部のわずかなキズだとしても専門家が見るとすぐわかってしまうとか。

実はこうなってしまった商品は一般の店頭で売ることができず、当然セール品として売りさばくこともできない。そのまま廃棄処分するしかないというもの。

ところで、売れ残った洋服がどうなるか気になったことはないだろうか?

簡単にその流れを説明すると、まず洋服は定価で売られる、定価で売れない洋服はセール品として売られる、セールで売れない洋服は、ショップの定員など身内にセールをかける。

それでも売れない洋服はどうなるか?なんと、最終的には「焼却処分」となります。

年間市場に投入される衣類は約28億着とされる。その約半数は結局売れ残って燃やして処分、というのが現状。

このような売れ残り処分の問題を解決すべく有効なのが「アウトレット品」としての取り扱いです。

「アウトレット」が生まれたのは米国で、ブランドメーカーの衣料やアクセサリーなどの、流行遅れ商品や通販のクーリングオフ品、実用上は問題のない「訳あり品」などを処分するために、工場や倉庫の一角を利用して「アウトレットストア」と呼ばれる在庫処分店舗が存在していた。

これが転じて、複数メーカーの直販店舗をモール化したものを「アウトレットモール」と呼ぶようになったとされます。

ブランドメーカーにとって、新商品を次々に投入し販売している直営店と同じ空間で、売れ残りを「安売り販売」してしまうとショップのブランドイメージが悪くなります。

そこで、これらの「訳あり商品」や「B級品」は直営店ではなく、各ブランドメーカー専門を集結した「アウトレット専門店」を銘打った空間で販売するとどうなるか?

消費者のアウトレットでの購入イメージは、「売れないブランド品が格安で売られている」に対して、「高いブランド品の掘り出し物があるかもしれない」というブランドイメージがダウンしてしまう恐れを避けられるのではないでしょうか。

なぜなら、アウトレットで正規品を求めて買いに来る顧客はいないからです。

訪れるほとんどの顧客は、「お気に入りのブランド品のお宝に出会えるかもしれない」「高くて手に入りにくいブランド品がみるかるかもしれない」というように、ブランドイメージを損なうことなく、あくまでコストパフォーマンスで購入を検討していると思われます。

アウトレットの商品は全国各地から集められた「訳あり商品」なので正規店にくらべると、サイズや色などが豊富に揃っているわけではありません。

こうした「正規の店頭では扱わない商品」を「正規の価格よりも安く」(一般的には30~50%OFF)販売するのが「アウトレットストア」であり、こうした商品を専門に扱うショップの集合体が「アウトレットモール」です。

そんな「アウトレットモール」は今でも開業数を増やし売上高も伸ばして続けているのでしょうか?

その理由の一つに、「ブランドを志向する顧客層がアウトレットの購入するようになった」

日本人がアウトレットを利用してきたのは、百貨店顧客層がラグジュアリーブランドを「定価」で百貨店で買わなくなった人たちが流れているとも言われている。

バブル崩壊後の不況がいまだに続き、人々が消費を抑える中、ブランド志向の高い顧客層はデザインがいいとか、生地の質が良いなどの「価値感」よりも、ブランドの持つ高級感、ステータスが保証される安心感、自分だけがレアものを持つ優越感といった「無形の価値観」に対する欲が強いと思われる。

百貨店で買わなくなったのは、価格以上の「価値」が見いだせなくなってしまった、厳しくいうと、顧客に対する売り方・見せ方は時代とともに変化しているのに、百貨店業界の対応が遅れた事も大いに考えられます。

そうなると、ブランド物の型落ち商品でもあまり見た目が変わらなければ、安く購入できるアウトレットで十分だと考えるだろう。

プレミアム・アウトレットモールの「立地」の秘密

全国にあるアウトレットモールのほとんどが以下の施設名となっています。

「○○プレミアム・アウトレット」
「三井アウトレットパーク ○○」

○○には、地域名が記されるとして、「プレミアムアウトレット」と「三井アウトレットパーク」の違いは、運営している会社の違いです。

プレミアムアウトレットは、「三菱地所・サイモン株式会社」が運営、三井アウトレットパークは、「三井不動産商業マネジメント株式会社」が運営・管理を行っています。

北海道から沖縄まで津々浦々、地場の開発業者などが展開する「ご当地アウトレット」を含めると約30強ものアウトレット施設が日本国内に点在しますが、上記の2大アウトレットモールが国内では人気を二分している。

今回は、「プレミアムアウトレット」の特徴でもあるその「立地」について。

なぜ都市部から離れた場所に開設しているのか?

首都圏で開催した方が集客効果もありそうだとは思いますが、どうやら単に「集客」だけを目的としていないとされる。

西日本の旗艦店と位置づける神戸三田プレミアム・アウトレット

この聖地へ訪問するためには、基本的に自家用車での来客を想定した立地で、敷地面積の拡大(増床)を想定した広大な敷地に開業している。

※尚、他のプレミアムアウトレットは、車での来店だけでなく、公共交通機関での来客を想定しバスターミナルを併設する例もあります。

なぜ、このような交通網もない僻地にあるのか?

有馬温泉という観光名所の近くではあるが、知っていないとまず訪問されないと思われます。

その理由は3つ。

一つは、「土地代の安さ」によって安値販売を成立させるため。

この理由は分かりやすい。低価格のアウトレット品を扱うがためコスト削減が狙いなのだろう。

二つ目の理由は、都心部の正規品流通店舗との競合を避け、店舗の分布が少ない場所にアウトレット店を開設し、一定のターゲット層の集客を得るため。

例えば、「神戸三田プレミアム・アウトレット」では、高級住宅街の芦屋を商圏とし、高価格帯のブランド品や神戸人好みの鮮やかな色を豊富にそろえたショップを展開している模様。

さらに、アウトドア系テナントなどを充実させ、より幅広い層に応える施設にしていくとされる。

なるほど。アウトレットモールに来店される顧客の8割方がリピーターだと聞きます。

そして三つ目は、米国の郊外にいるかのような「非日常的な空間」を体験していただくため。

私たちは、ときには「非日常な時間」を過ごしたいと思うのではないでしょうか?

プレミアムアウトレットの施設内は、米国の古い町並みを演出したモダンでレトロなデザインをモチーフとしている。

そこには、都市部でのショップでは味わえない、「異空間」の非日常的な体験ができます。プレミアムアウトレットの立地条件は、単に土地代が安いからだけではないことは確かです。高い集客力を保つ秘訣はココにもあるのだろう。