無料でもう1つ「おまけ」サービスの快進撃

無料でもう1つ「おまけ」サービスの快進撃

1個買ったらもう1個無料でもらえる。

最近こういったサービスを見かけることはありませんか?なぜ、1個無料でくれるなら初めから「50%OFF」や「半額」にしないのか?

今回は、「割引」サービスよりも「おまけ」サービスの方が、商品は売れるというお話をします。

「割引」よりも「おまけ」が有効である理由

次のAとBの2つのうち、どちらのオファーでセールスしますか?

A「○○化粧品は通常1個2,000円。期間限定で今なら3個ご購入で33%OFF!」

B「○○化粧品は通常1個2,000円。期間限定で今なら2個ご購入頂くと、プラス1個が無料でもらえる!」

「値引き」かそれとも「おまけサービス」のどちらかです。当然、良く売れる方でセールスしたいと思うでしょう。

結果からいってしまうと、Bの方がAの売上と比較して、約1.3倍。正確にはBのオファーに変更したところ、Aと比べて費用対効果は135%にまで改善した。

さて、お気づきだとは思いますが、AとBの「○○化粧品」の1個当たりの値段はAとBではほぼ同じです。

【Aの場合】

1個2,000円×3個=6,000円

6,000円の33%OFFで、4,020円

4,020円÷3個で、1,340円

【Bの場合】

1個2,000円×2個=4,000円

4,000円+おまけの1個=4,000円

4,000円÷3個で、1,330円

購買価格は同じ、ただ「言い方」を変えただけです。なぜ、「割引」よりも、「おまけ」のオファーが有効なのか、考えられる理由を3つ挙げてみよう。

1つ目の理由は、Aの場合いかにも「安くするので3個買ってください」という印象がありますが、Bの場合だと、「無料で1つプレゼントしてくれた!」という印象さえ感じます。

2つ目の理由。商品を割引や値下げ販売すると、割引・値下げ前の値段で購入していたお客さんに対して不公平は印象を与えてしまう事さえある。

その弊害を防ぐために、「同じ商品をそのまま提供する」ことで、お客さんとの公平(フェア)な関係を保つ考え。これは、「プライス・プロテクション」と呼ばれるものです。

そして、3つ目の理由。そもそも、買物をするお客さんにとって、何%引きという表現ではすぐに計算ができません。確かに30%引きや40%引きの計算は面倒で、どれだけお得なのかが分かりにくいといえます。

一方、「無料で1つもらえる」と謳われると、すぐにお得感を認知してもらえる。1個買ったら、1個「おまけ」するという手法は非常に明快で分かりやすいため、今ではコンビニやスーパーなどでも多く見かけるようになった気がします。

ドミノピザ躍進の立役者「Buy 1 Get 1 Free」

さて、「1個買ったらもう1個無料」。実はこれは、ドミノ・ピザで有名な「Buy 1 Get 1 Free」というサービスがそもそもの発端で、最も認知度が高いかもしれません。

ドミノピザ躍進の立役者となっているのは「お持ち帰り限定!1枚買うと、もう1枚無料!」というプロモーション戦略です。

店舗までピザを取りに行けば、2枚購入しても1枚分の価格で済むサービス。ホームページからも注文ができるので、確認してみて下さい。

ではなぜ、ピザを1枚買えば1枚無料にするのか?

仮に、1枚のピザ価格を「半額」にしたとします。すると、買い手の心境を察するに、「半額」というお得感ばかりをアピールすることとなる。

しかし中には、「半額だから、もう一枚買おう」と思う人もいるはずです。つまり、1枚だけを買いに来たお客様も、「お得」なら、もう一枚購入される可能性は非常に高い。

ならば、「1枚を半額」というお得感をアピールするのではなく、始めから「もう一枚注文すると、プラス1枚無料」に設定しておくとどうでしょう?

「1枚だけを注文しにきた」お客様の心境の変化を推測してみると、「ピザを1枚買う」という当初の目的を果たすことよりも、「1枚分のピザの価格で注文する」という心境へとシフトします。

わかりますか?要は、「1枚を半額」だとお客様は1枚しか買ってくれない可能性が高いが、「1枚をプラス」に設定しておけば、お客様の「予算」を基準に購入いただけるのです。

予定外の2枚購入を促す効果を高める。なにせ、2枚注文しても、価格は1枚分ですから。また、「1枚を半額」では、1枚しか購入して頂けないため、当然客単価は下がってしまう。しかし、「1枚プラス」にしておくと、客単価を下げずに済むというわけなのです。

もう一つは、コストがトータル的に安くなるという理由がある。一人の買い手に1つ販売するのと、2つ販売するのでは、原材料などの「変動費」は2倍かかりますが、接客時間などにかかる人件費や賃料など「固定費」は追加コストが少なくてすむ。

結果として全体の利益向上につながるというメリットがあるのです。

さて、ドミノピザの「Buy 1 Get 1 Free」サービスは、もう一つの儲けのカラクリがある事に気づきましたか?

そうです。「お持ち帰り限定」です。持ち帰りを条件にすることによって「宅配」という多大なコスト削減を可能とするからです。

ご存知「ピザ」といえば、「宅配」だと認識している方も多いでしょう。ピザ業界では、「30分で届ける」を徹底し、素早い宅配で顧客の支持を獲得してきた。

しかし、この「宅配」こそが、ピザ業界最大のサービスである一方、最大のコストとリスクでもある。

宅配ピザ業界のコスト構造は、バイトなどの「人件費」が大きなウェイトを占めているとされる。注文を受けてから、約10分でピザを焼き、30分程度で配達するというパターンでしょう。

ここで配達のプロセスに着目すると、一人の配達員が往復40分から1時間かけて顧客にピザを届けているということになります。

ドミノピザのアルバイト募集を拝見すると、時給1,000~最大1,350円となっています。

仮に、バイトの時給が1,200円だとすると、1時間の配達だけで単純に1,200円のコストがかかってしまう。さらにこの人件費に加えて、ガソリン代や配達中の交通事故のリスクを考えると時給以上のコスト負担は必至となる。

では、この「宅配サービス」を一切中止にするとどうなるか?配達コスト1,200円を削減することはできますが、当然お客様を減らすことになりかねない。

宅配サービスを中止せずとも、なるべくお客様に直接ご来店いただく必要がある。そこで、「Buy 1 Get 1 Free」サービスを「お持ち帰り限定」とし、お客様に直接来店下さる仕掛けを投じたわけです。

ここで、2つのコストを天秤にかけてみます。

「宅配サービス」にかかるコスト

「1枚無料サービス」にかかるピザのコスト

まずは、「宅配サービス」にかかるコストは、先ほど説明したとおり、配達人員の時給をそのままシフトして、1,200円とします。

では、「1枚無料サービス」にかかるピザのコストはどうか?宅配ピザの原価は、飲食業界の目安が30%程度とされるなか、15%から20%程度といわれています。

3,000円のピザであれば具材などの原材料費は「450円」から「600円」程度にしか過ぎないとされている。

つまり、宅配サービスにかかる人件費「1,200円」は、ピザを2枚無料でサービスするコストに等しい。顧客が店舗にピザを取りに来る場合は、5分から10分程度の調理時間はかかるものの、配達の必要はありません。

また、ピザの原価は低いので、「1枚購入すれば1枚無料」といった思い切った割引を提供することができるというわけです。

「モノは言いよう」といいますが、実質的には同じ意味を表す事でも、表現次第では相手の印象を変えることができる。行動経済学では「フレーミング効果」という。

例えば、「10人中8人が良いと評価した本」「10人中2人が悪いと酷評した本」、どちらの本を読みたいと思いましたか?

大抵の方は前者の「10人中8人が良いと評価した本」ではないでしょうか。セールスにおけるキャッチやオファーでも「視点」を変えて表現することで売上、反応が改善されます。