「記憶のルール」に基づいた記憶法【第四回】脳記憶のメカニズムに適応させよう

「記憶のルール」に基づいた記憶法【第四回】脳記憶のメカニズムに適応させよう

記憶として覚えるには反復(繰り返し)学習が大事で、肝心なのは、その反復をいつするか、そのタイミングです。

人間の記憶は20分後には42%を忘れ、1時間後には56%を忘れてしまうため、1回目の学習では、無理に覚え込もうとするのではなく、理解を中心におぼえるようにする。

そして、2回目の反復(繰り返し)は、時間を空けずに忘れかけた1時間以内にもう一度復習するのがポイント。

3回目を1日後、4回目を1週間後に反復(繰り返し)学習をスケジューリングし、記憶の定着を限りなく100%にしていく。

最初から完全記憶を目指すのではなく、その2回目~4回目の復習で徐々に脳への記憶を積み上げていく方がずっと効率的。なぜなら、2回目~4回目の復習は、最初に覚えたときのわずか2~3割の労力しかいらないからです。

1回目

丸暗記ではなく、理解することを考える。

2回目

1時間以内に記憶をチェックし、覚えていないものだけ反復する

3回目

24時間後に、1回目にやったことをもう一度復習する

4回目

記憶をチェックし、覚えていない所だけを復習する

さて、人の記憶力というものは、人それぞれの能力だと、だれもがそう思っていたはずです。

しかし、実はそうではなく、脳の特性に沿った記憶のルールに適応した記憶の仕方をするかしないかの違いなのです。

あの人は、記憶力がすごい、私は記憶力がない、そんな勘違いはこれより一切あらためよう。

要は、記憶を定着させるためのルールを知っているかどうかの違いです。

さて、記憶させることは、時間のタイミングがポイントだとこれまで学んできました。

今回は、なぜ、繰り返し反復することが大切なのかについて説明します。反復効果は、脳の記憶のメカニズム、つまり「記憶のルール」に適応していることが理解できると思います。尚、少しばかり専門用語が度々出てきますが、少々お付き合いください。

脳の記憶のメカニズムを司る「海馬」

人間の「脳」はどうやって物事を記憶するのか?

「脳」とひとくくりにいっても、実はいろいろな部分から構成されていて、記憶を司る脳の「前頭葉」、「側頭葉」、それから「海馬」という3つの器官によって行われています。

まず、私たちは、手で触ったもの、目で見たもの、耳で聞いたことなど、体の感覚器官から受け取った情報を、わずか数秒間だけ記憶します。

これを「感覚記憶」といいます。

普通に生活していると、観たり聞いたりなど、感覚器官から受け取る情報量を何から何まですべてを感覚記憶として受け取る事はできません。

でないと、脳はオーバーヒートを起こしてしまいます。

なので、必要な情報と、必要でない情報を仕分けし、特に注意を引かなかったもの、特に重要でないと判断されたものの記憶は、数秒で消し去ってしまうが、反対に、意味があるものだと選択された情報は、脳内の小さな保管庫である「海馬」に送られます。

「短期記憶」の錯覚と「長期記憶」の条件

「海馬」に送られた情報は、一時的な保管場所として保持され、その時間はわずか数時間程度で消えてしまいます。これを「短期記憶」という。

実は、この「海馬」が記憶に関して最も重要な役割を果たしているのです。

海馬に保管された一時的な記憶(短期記憶)を数時間程度ですべてが消えてしまうと、私たちのいう「記憶」というものが成り立ちません。

なので、海馬は、最も重要だと判断した情報を、脳内の「側頭葉」と呼ばれる部位に送り、そこで半永久的に「保存」させる役目を果たします。

この側頭葉に保存された情報を、俗にいう「忘れない記憶」ということです。

これを「長期記憶」といい、私達の目指す「記憶」とは、「側頭葉に長期記憶させる」ことなのです。

つまり、私たちが行う「英単語を覚えよう」とか、暗記しようとか、必死になって覚えようとして、脳内に情報を送ると、まずは「海馬」へと一時保管されます。

この時、私たちはあたかも「覚えた」と錯覚してしまいがちなのです。

なぜなら、1回目の学習なので、その後、反復(繰り返し)復習しなければ、忘却のメカニズムによってあっという間に忘れてしまからです。

1回目の学習は、海馬で一時保管された「短期記憶」にすぎないため、それを「長期記憶」へと送ってあげなくてはいけない。

しかし、そんなことを私たち自身が、意識的にコントロールできるはずはありません。そんなことができるのなら、覚える事に苦労はしないでしょう。

脳内の記憶を司るのは、「海馬」という記憶の番人です。長期保存とするかどうかを判断するのは、「海馬」に委ねられている。というわけです。

では、私達の意志で「覚える」ことはできないのでしょうか?正確に言えば、できません。意志の力で長期保存として記憶させることは不可能です。

しかし、自分の意志で記憶させることはできませんが、ある瞬間だけ、記憶において自分の意志を埋め込むことができます。

そのある瞬間とは、「思い出す」ときです。

海馬をダマして永久記憶させよう

1回目に学習したことを、忘れかけたタイミングで、2回目再び思い出す行為をした時、海馬はこのように判断します。

「この情報は、この人にとってこれからも使われる情報だ!」「なので、いつでも利用できるように大切に保管しておこう!」というように、重要な情報だと判断し、大切に記憶させておこうとするのです。

つまり、1回目で覚えた事は、一時的に海馬に短期記憶として保持されます。そして、その短期記憶として保持された情報に何のアクションもなければ海馬は「いらないもの」だと判断しすぐに消去してしまう。

なので、私達の意志でできることは、海馬が消し去ろうして言う瞬間、つまり、忘れかけた時に「思い出す」というアクションを施すことで、その重要さを海馬に伝える事です。

思い出す事を「想起」といいますが、この想起は、何度も繰り返すことで、より重要情報だと識別し、強固な記憶として保管される。

これが、これまで学んだ、忘れかけたタイミングの反復(繰り返し)効果なのです。

今回はここまでです。次回は、永久記憶つまり、「長期記憶」させるための条件に付いてさらに詳しくその真実について学びましょう。