「儲かる立地選定」における “ 集客数 ” の基本的な考え方

「儲かる立地選定」における “ 集客数 ” の基本的な考え方

新規店舗の出店は「立地」が命。

ビジネスを成功させるためには「立地選定」間違えるとなかなか繁盛しません 。

「立地選定」は様々な条件がありますが、中でも集客効果を左右する「人口分析」について説明します。

ところで、集客効果の高い立地を選定するには、単純に「人口が多い立地」だけで良いかというとそうではない。

なぜなら、人口の考え方には「夜間人口」「昼間人口」という概念があるからです。

「夜間人口」と「昼間人口」

まず、「人口」の意味は、人の数のこと。これはわかります。では、夜間人口と昼間人口とはなにか?

「夜間人口」とは、ある地域に定住している人口。つまり、自宅やマンション、賃貸などその地域住民の人口をいいます。

「昼間人口」とは、地域住民の人口(夜間人口)に他の地域から通勤してくる人口(流入人口)を足し、さらに他の地域へ通勤する人口(流出人口)を引いたものをいいます。

簡単な式で表すと、「昼間人口 = 夜間人口 + 流入人口 ー 流出人口」

つまり、その地域に働きに来る人や、通学にきている人、観光に来ている人など、他の地域から来る人が多ければ、昼間人口は夜間に比べて多くなります。

昼間人口の多い地域の特性は、会社・学校が多い、観光地や大きな商業施設があるといえます。

つまり、昼間人口が多い地域は、仕事をしに来る人、通学しに来る人、観光しに来る人、買い物しに来る人などが多く来店される可能性が高いと想定できる。

となれば、昼間人口が多い地域向けの儲かりそうなお店やビジネスは以下のとおり。

  • 仕事をしに来た人向け
  • 学生向け
  • 観光客向け
  • 商業施設

これらを消費需要を主体とした店の出店すべき立地は以下のようになります。

  • オフィス街周辺
  • 駅前、駅ナカ、駅周辺
  • 観光地周辺
  • 商業施設

逆に、その地域から他の地域に働きに行ったり、通学したりという人たちが多ければ、昼間人口は夜間に比べて少なくなります。つまり、夜間人口の多い地域エリアという事です。

夜間人口の多い地域の特性は、住宅地が多い、自営業者が多い、車移動が多いなどがいえます。

夜間人口が多い地域の主なターゲット層は、夕方ないし夜に帰って来る人、主婦や高齢者、家族世帯などが多く来店される可能性が高いと想定できる。

となれば、夜間人口が多い地域の儲かりそうなお店やビジネスは以下のとおり。

スーパーなど日用品の店日常的な外食(ファミレスなど)日常的に使うもの全般

これらを商事需要を主体とした店の出店すべき立地は以下のようになります。

  • 商業施設
  • 路面店
  • 住宅地

全国展開する「チェーン店」の立地選定は?

さて、昼間人口・夜間人口の意味は理解できたでしょうか?

ファミリーなどの来店を想定したロードサイドの郊外店では、その商圏内に住んでいる人の数(夜間人口)が重要となります。

一方で、駅前や繁華街でサラリーマンなどを来店を想定した居酒屋業態だと、その商圏内に通勤(通学)をする人の数(昼間人口)が重要となります。

つまり、その業態のターゲットによって「儲かりそうな立地」の条件は変わる。大事なのは、対象エリアにはどういう “ ライフスタイルの人がいるのか? ”です。単純に人が集まりそうだからということではないのです。

どういう場所に、人の出入りはどう起こっているのか、出店するお店やビジネスへの適性がある地域なのか、などを把握するのが立地の「人口分析」の考え方です。

ですが、ここで疑問が沸いてきます。全国チェーン店の出店はどうなのか、ということ。

チェーン店に限っては、昼間人口が多い地域でも、夜間人口が主流の地域にもおかまいなしに出店を可能としているようだ。

都市部や地方など全国至る場所に出店しチェーン展開するお店やショップは、昼間人口・夜間人口という概念は通用しないのか?

実は、全国いたるところに出店しているチェーン店は、その地域に合わせた出店形態を取っているからです。

例えば、飲食チェーンである「マクドナルド」でいえば、昼間人口の多い都市部には駅前への出店であったり、商業地域にはショッピングモール内に出店しています。

逆に夜間人口の比率が多い郊外エリアにはドライブスルー店を出しているのです。いわれてみれば、確かにその事に気づかれたのではないでしょうか。

同じ業態でもなぜ、立地選定は異なるのか?

多店舗展開をしているチェーン店は、やみくもに出店数を増やしているわけではないことは当然。

先述では、立地選定における「人口」について触れました。では、同じ業界でもビジネスモデルが異なる事で、立地選定はまるで違うという話をします。

皆さんが街を歩いていてよく目にする牛丼店。牛丼御三家と呼ばれる日本国内の主要牛丼チェーン店3社といえば、吉野家、すき屋、そしてこれら2社とはモデルが異なる株式会社松屋フーズの「松屋」。

同じ牛丼業界の立ち位置あったとしても、異なる「立地選定」の基準がある。

まず、庶民や学生に優しい定食の店の定番と称される「松屋」。松屋の牛丼は「牛めし」と呼ばれ、しっかりとした味付けが特徴的です。

さらに、どのメニューにも味噌汁が付き、食券制なのも特徴。牛丼チェーンと括られそうであるが、そのポテンシャルは高い。うどん・鉄板焼肉・ハンバーグやカレーといった牛丼以外のメニューのバリエーションが豊富です。

この豊富なメニュー構成は出店する立地選定の基準も違う事が分かります。

では、松屋と吉野家の各公式Webサイトで確認できる「物件募集要項」を比較してみよう。

ロードサイド店に関しては、主要生活道路に面する等、両者とも立地条件がほぼ同じだが、ビル・イン店に関しては大きく異なる。

【松屋】

  • 店舗面積目安:25~40坪
  • 1日乗降客2万人以上の駅から50m以内の人目につくところ
  • 事業所街やオフィス街の飲食店舗の少ないところ
  • 原則1階路面店舗(地階や2階だけの単独出店は不可)

【吉野家】

  • 店舗面積:25~35坪
  • 乗降客5万人以上の駅前
  • 乗降客10万人以上の駅周辺 間口:6メートル以上
  • 繁華街で人通りの多い場所

上記のビルイン出店の「物件募集要項」の各項目から同じ牛丼店でも違いがあります。

まず、両者ともビル・インの出店は、駅前や駅周辺を選定。しかし、ザックリと駅前や駅周辺といっても人の導線、つまり人通り数は意外と差がある。

吉野家が「乗降客5万人以上の駅前」「乗降客10万人以上の駅周辺」たが、松屋は、「1日乗降客2万人以上の駅から50m以内の人目につくところ」。つまり、松屋の方が少ない乗降客数でも出店できるということになる。

さらに、吉野屋は「繁華街で人通りの多い場所」に対して、 松屋は「事業所街やオフィス街の飲食店舗の少ないところ」となっている。

なぜか?「利用動機」が違うからです。松屋には吉野家には無いうどん・鉄板焼き肉・ハンバーグや定食などのメニューカテゴリーがあります。

それだけ多くの客層をターゲットにできる。つまり、多いカテゴリメニュー構成である松屋は、それだけ多くの「利用動機」があるということ。そのため、理論上は不特定多数の乗降客が少なくても、競合店の少なく且つ、ビジネスユーザーの入店率を高めることができるとされる。

また、立地選定で考慮しなくてはいけない事と言えば、「賃料」。あまり高い賃料をかけてしまうと収益を確保するのが難しくなってしまうのは当然。

吉野家の「乗降客数が多い駅前の物件」に対し、松屋の「事業所街やオフィス街の飲食店舗の少ないところ」ではやはり前者の賃料が高いと思われます。

一般的に、飲食店では売上高に対して「FL比率」を考える必要があります。Fは「Food cost」の頭文字で売上原価、Lは「Labor cost」の頭文字で人件費をそれぞれ指します。

売上高に対するFLの比率合計を60%以内、さらに家賃も含めたFLRコスト比率(Rは「Rent」の頭文字で賃料を指す)を70%以内に収めることが重要とされています。

このように、立地選定を行う際には自社のビジネスモデルを踏まえた上で、自社なりの出店基準を設けていくことが成功の鍵となる。

繁盛は必ずしも「立地選定」に限ったことではない

さて、「儲かる立地の条件」に付いて少し触れてみましたが、「悪い立地」では絶対に繁盛しないかというとそうではない。

たとえ立地が悪くても素晴らしい商品とサービスで根強いファンを獲得できるようになったのが今の時代。

それは、現在ではたとえ店舗立地の悪い店でも、インターネットで店舗の存在を知ってもらえるようになったからだ。

最も影響力のある口コミのグルメサイトを始め、ツイッター・インスタグラム検索によるSNSの利用が店舗選択の優位性を得ている。

「名物商品」「インスタ映え」「有名店」「こだわり食材」といった明確な強みを持った店舗は、ネット上の口コミによる集客効果で繁盛店となるケースが少なくありません。

松屋の強みとは何か?競合他社との差別化をどう示しているのか?

例えば、吉野家・すき屋では、“デフレの象徴”とも呼ばれる苛烈な値下げ競争を繰り広げていたが、松屋ではプレミアム牛めし(並盛380円)を投入。従来の牛めし(並盛290円)に対し、事実上値上げを意味する。

松屋フーズの緑川源治社長は「価格だけを見ると値上げだが、これまでの牛めしとはまったく別物」と強調する。何がどうプレミアムなのかを調査してみると、最大のポイントは、牛丼の“顔”ともいうべき牛肉。

従来は「冷凍保存した牛肉」を使用していたが、今回の新商品では「チルド(低温)保存した牛肉」を使っている。

※ チルド保存した牛肉とは、肉の温度を0℃付近に保って保存することをいいます。完全に冷凍した肉は品質が劣化してしまうが、凍る直前の温度で保存することで肉の質をいい状態で保つことができる。

さらに、それに合わせて無添加タレを新たに開発し、みそ汁の味も刷新したという。確かに「プレミアムな牛めし」。

小手先の追随では追いつけない「プチ贅沢な牛めし」の施策は競合他社との差別化を図る事になるか。果たして値上げを「価値あるプレミアム」と称するが、吉と出るか凶と出るか?

プレミアム商品は普段は普通商品を購入している人のハレの日の商品として、そして、従来品では開拓しえなかった新たな顧客層の開拓として活用をすることができかもしれない。

値段の価値が勝るのか、それとも “premium” な価値なのか?私は後者に軍配を掲げたいが、市場は想像を絶する事もある。

立地選定に関するテーマから少しそれてしまったが、やはり、自社の強みを活かし、そのビジネスモデルに合致する「良い立地を選定していく」ことが重要だろう。