マン喫でしょうか? いえ、カレー屋さんです。

飲食業で働いている人、または働いた経験のある方は知ってると思うのですが、「アイドルタイム」ってあるじゃない。
知らない人は、まずあの「アイドル」だと真っ先に思うのね。
アイドルタイムとは、簡単に言うと、「暇な時間」。
飲食店の場合では、14時~17時の入店客が少ない時間帯をいいます。
熱狂的ファンを持つ人(=アイドル)ではないのです。
僕が飲食店で働いていた時のことですが、お客さんがお帰りの時のレジ会計をしておりましたところ、アルバイトの女の子(大学生)が僕に「スイマセン、アイドル無理なんです」っていってきた。
すると、すかさずパートのオバちゃんが、「アイドルやろっか?」とやや大きめの声で、女の子(大学生)にいってくれたのです。
「いいんですか?」(女の子)
「大丈夫大丈夫!」(オバちゃん)
なので僕も、「じゃぁ、○○さん(パートのオバちゃん)、アイドルお願いね。」
この一部始終を会計中のお客さんは、聞いてたさ。
そしたらね、レジ横に置いてある募金箱に募金、してくれたんだよね。
「アイドル」ここが一番なのね。
さて、アイドルタイム=暇な時間。だとしても人件費や、施設や設備・機械などに対する賃貸料等の固定費もかかります。
コスト削減が叫ばれる昨今では、この「アイドル」のコストは見落とせない要因となっており、できるだけ少なくする方策が必要となる。
大抵の飲食店では、入客数の少ないアイドルタイムを利用して、ディナータイムの仕込みや清掃、管理業務など、有効に使える時間帯でもあるわけ。
しかし、少し視点を変えて、アイドルタイムをコスト対策として利用も有効ですが、果たして売上アップを図れないものなのか?
もしかすると、「機会損失」しているかもしれない。機会損失というのは、簡単に言うと儲け損。本当なら儲けることができるはずなのに、売り手側の都合で儲ける機会を失ってしまう事をいいます。
つまり、入客数の少ないアイドルタイムに、あえてお客さんに来店していただけるかが「カギ」となる。
アイドルタイムの来客数を上げるには、その時間帯特有のサービスを施す「イノベーション」の企てが必要です。
例えば、分かりやすい対策としてなら、「14時以降にご来店のお客様はコーヒー無料サービス」
自分の時間をある程度自由に調整できるお客様にとって、「14時以降に入店すればコーヒーが無料で飲めるのなら、少し時間をずらしてから行こうかな」
というメリットを狙って来店してくださるようになります。
また、「ハッピーアワー」というもので、「17時~19時の間はアルコールが全品半額」というような最近流行りのプランを導入している店舗もあります。
半額目当てに来店される方もいらっしゃるだろうが、他にも「19時くらいから飲もうと思っていたけど、どうせなら少し早めに行って、普段飲んだことの無いお酒を試してみよう」
というような「動機づけ」も狙い目となる。
さて、カレー専門店の圧倒的シェアを握り、国内で約1,200店以上をも展開する通称“ ココイチ”こと、
「カレーハウス CoCo壱番屋」――。
僕は、かれこれ約20年前頃より馴染のあるスタンダードなカレーショップとして利用し続けているヘビーユーザーの一人である。
そんな愛着あるココイチ。店舗の快適性向上を目的に今では当たり前のように「マンガ」を設置しています。
また、全店ではないが可能な限り「コンセントを設置」して、食べている間にスマホなどのモバイル機器の充電ができ、さらに、「Wi-Fiの導入」を進め、現在はすでに98%の店舗で完備。
マンガ・コンセント・Wi-Fiの設置。
これはもう、「マンガ喫茶」。
なぜ、カレーショップであるココイチが、マンガ喫茶化を推進したのか?
確かにココイチは、「女性客の抵抗感がなくなった」「ドライブスルーでローサイド郊外での利用が増した」など、華麗なるカレー専門店の絶対王者へと成長した。
漫喫化を推進したココイチの戦略は、いかなるものか? そこには、こんな理由があったのです。
原点回帰だったのね。
ココイチが「マンガ喫茶化」に念頭に置いたのは、ランチとディナーの間の「アイドルタイムの集客」。
午後3時~5時くらいまでの顧客が途切れる時間帯に、喫茶店ように使ってもらえないかと思案を巡らせた施策。
カレーを食べにくるお客さんに絞らず、コーヒーを1杯だけ、マンガを読んでゆっくりしていってもらうのも歓迎だという。
実は、カレーハウス CoCo壱番屋は、もともとは喫茶店だった事はあまり知られていないかもしれません。
ココイチの創業者である宗次徳二・直美夫妻が1974年、名古屋市に開業したのは喫茶店「バッカス」。
翌年その近所にオープンした2号店「浮野亭」で提供していたカレーライスが評判となったのをきっかけにカレーライス専門店へとシフトした。
つまり、もともとは喫茶店で、愛知県清須市内の3号店「CoCo壱番屋 西枇杷島店」が今日のココイチ発祥となっている。
名古屋といえば、喫茶「コメダ珈琲店」をはじめとする喫茶店の激戦区であると同時に、マンガ喫茶の発祥の地でもあります。
となれば、ココイチが施策したアイドルタイムのマンガ喫茶は、「原点回帰」ともいえよう。
今では、日本だけではなく、アメリカや中国、台湾など海外にも拠点を広め、代表的なファーストフードと言っても過言ではない名古屋発のカレーショップ「CoCo壱番屋」。
「ボリュームのあるココイチのカレーを短時間でさくっと食べたい」
「1800gのカレーをいつか完食してみせる」
20年前から今もなお利用し続けている私にとって、今回の漫喫導入は意外だった。
当初に比べ、店内のイメージもガラリと変わり、女性客も増えたようです。店内のアンケートに「ひき肉カレーが食べたい」と何度か書いた記憶もあります。
今日に至るココイチは、かつて僕が知ってる「ココイチ」はまちがいなく、ここが一番になってくれた。
最近はあまり「ココイチ」にはいけてないけど、カレーにマンガ。ゆっくりくつろぎながら、やってみたいなぁ。
世界に羽ばたく「ジャパニーズカレー」として今後もハッとさせられるような意外な進化を期待したい。