「記憶のルール」に基づいた記憶法【第一回】人は“忘れる”動物

「記憶のルール」に基づいた記憶法【第一回】人は“忘れる”動物

1日3時間まとめて学習する

1時間ずつ3日に分けて学習する

さて、これら2パターンのトータル学習時間は同じです。4日後、どちらのパターンがより記憶して学習効果が高く得られたでしょうか?さて、これら2パターンのトータル学習時間は同じです。

結果は、3時間まとめて学習した方の記憶量は、全体の約20%。3日に分けて学習した方の記憶量は、全体の約75%。という結果がでました。

前者は「集中学習」、詰め込み学習ともいいます。そして、後者は「分散学習」です。

察するに、まとめて覚えるよりも、分けて覚える方が、より記憶できるという事が理解できます。

人によって覚え方はさまざまです。しかし、人の脳の仕組みは誰しも同じ。同じ脳ならば、記憶の仕方も同じであるはず。

脳にとっての「記憶のルール」

毎日勉強したいけど時間がとれず、週末にまとめて行っているという方はいらっしゃいますか?

しかし、先週末に学習した内容をすっかり忘れてしまっている、なんてことがあるのではないだろうか。

忙しいビジネスパーソンの方、まとめて勉強する時間がないという方、長時間集中力が持続しないという方、毎日少しづつ勉強した方が実は学習効果を得られる。ということです。

しかしなぜ、同じ時間でもこれだけ記憶量に違いがでるのはなぜでしょうか?

私達が「記憶する」というのは、“ 脳が記憶する”ということです。脳には、それなりの「記憶のルール」があるのです。

そのルールに従って記憶する、つまり覚えるようにすればちゃんと、脳は記憶してくれます。

私達が意図的に覚え込もうと必死に情報を詰め込んでも、脳はそのまま記憶するわけではなく、何を記憶して何を忘れるかを識別し、さらにタイミングが重要です。

特殊な記憶術ではなく、脳がどうやって記憶を司るのか、その「記憶のルール」を知り、どのように記憶すればいいかを探ってみましょう。

今回は、第一回目という事で、人はなぜ、忘れてしまうのか?覚えられないのか?について、そのメカニズムについて探ってみよう。

脳にとっての記憶のルールを知る上での重要なヒントとなります。

脳は曖昧に記憶し、忘れようとするもの

さて、あなたに絵心があるかどうかをためしてみましょう。

「ドラえもん」はご存知ですか?

藤子・F・不二雄氏原作の猫型ロボットで知られるあの「ドラえもん」です。あなたは何も見ずに、「ドラえもん」を描けるでしょうか?

案外こんな感じで描いてしまわないですか?

正しくは、こうでした。

日本人なら「ドラえもん」の事ならだれもが知っているはずです。しかし、いざ描いて下さいと言われると、結構かけないもの。知っているのにその認識は非常に曖昧です。

つまり、人はよく知っているようで、その記憶は意外と曖昧。曖昧な記憶をしています。

画像だけではありません。言葉でも曖昧な記憶をしています。例えば「事実」と「真実」の違いを説明してください。と言われるとどう答えるでしょうか?

事実は、「実際に起こった事柄」で、真実は、「うそ偽りのないこと」が正解です。

なぜ私たちの認識は曖昧なのでしょうか?しっかり正確に物事を捉えたほうが断然良いように感じますが、実はそうではないのです。曖昧に認識しないと、と、逆に生活できないのです。

考えてもみてください。周りにいる人たちは初めて見たときのままの姿形でしょうか。そんなことありません。髪は伸びるし、服装も変わります。

しかし、私たちは、見かけが多少変わってもちゃんと個人を特定することができます。その理由が「曖昧に認識している」からです。

逆にしっかり正確に認識してしまうと、同僚が徹夜続きでヒゲが伸び放題になっただけで、もう誰だかわからなくなってしまいます。認識の曖昧さは人間にとって必要なことなのです。

さらに脳は、曖昧な記憶をするという特性だけでなく、覚えようとするよりも、忘れようとする偏屈者みたいな厄介者なのだ。

「忘れようとする」というよりかは、忘れないと、これまた大変な事になるからです。

私たちは毎日、いろいろなものを見て、聞いて、読んで、膨大な量の情報に接しています。

もし、すべての膨大な量の情報が記憶されてしまうとしたら、毎年頭の中には膨大な情報量が増えていくことになってしまいます。子どものうちはいいかもしれないけれど、歳をとったら、いったいどうなるか。今まで見たこと、聞いたこと、経験したことすべてを覚えていたらと想像すると、ゾッとしませんか?

別に覚えておきたくないゴミのような記憶も忘れないでいると、それこそ脳内は容量オーバーとなり、いつフリーズしてもおかしくないでしょう。

つまり、脳は、「記憶のルール」に従わない情報は、直ちに消去する特性があるということです。

忘却のメカニズム

さて、人の脳は「忘れるようにできている」という事はわかりました。

一言に「忘れる」とはいっても、瞬間的に記憶から飛んでしまうわけではありません。実は、人の「忘却」つまり、忘れる仕組みは、誰しも共通のメカニズムなのです。

覚えることには、物覚えがいい人もいれば、悪い人もいますが、「忘れること」には、個人差はなく、誰もが同じだとされている。

何度もいうように脳は忘れるようにできているのだから、どんな頭のいい人であっても、人間である限り必ず忘れます。

「エビングハウスの忘却曲線」はご存知でしょうか?

記憶術に関する知識がある方は一度は聞いたことはあるかもしれません。

簡単に言うと、一度だけ見たり聞いたり覚えたりした記憶は、時間の経過とともにどのくらい忘れていくかをグラフにしたものです。

以下の図を見てください。

横軸が時間の経過、縦軸が記憶残量を示しているが、このグラフを見て、何か気づくことはありますか?

このグラフによると、覚えたことを、1時間で56%、1日で74%も忘れてしまう

つまり、たった1日で覚えたことの、4分の3は忘れてしまうということです。

但し、勘違いしないように補足しておきますが、この忘却のメカニズムは、一度っきりだけ見たり聞いたり、覚えたことのデータです。

なので、この「エビングハウスの忘却曲線」からわかることは、人間は一度覚えただけでは、忘れてしまう確率が非常に高い、ということを示しています。

さて、人間の脳は思った以上に忘れる動物。

ですが、この忘却のメカニズムを知る事で、反対に、「記憶するメカニズム」を掴むことができるト言い換えられます。

今回はここまでです。

次回は、脳が記憶する仕組みについて紐解いてみよう。