「記憶のルール」に基づいた記憶法【第二回】反復の“タイミング”

「記憶のルール」に基づいた記憶法【第二回】反復の“タイミング”

一生懸命記憶して暗記したものでも、一晩たつと、見事に忘れてしまいます。

「ああ、なんて私は記憶力がないのだろう」と思ってしまいますが、そんなことはありません。

人の記憶は、覚えた直後に急激に忘れていく。それが人の「脳」の仕組みだからです。

前回では、人間の記憶は曖昧で、しかも1日過ぎれば約4分の3は忘れてしまう、脳の「忘却のメカニズム」について学びました。

「記憶のルール」に基づいた記憶法【第一回】人は”忘れる”動物

私達が一生懸命に覚えようとしても、脳は随時忘れようとする。この特性があるがために覚える事に苦労します。

しかし、反対に、私たちが一生懸命に忘れようとすることでさえも、忘れられないことがある。

それは、脳が忘れない記憶として保管し続けているからです。この特性があるため、これまた忘れる事に苦労する。

さて、さきほどから、まるで脳が別の人格を持っているかのような表現をしていますが、それにはちゃんと理由があります。

私達の記憶を司るのは、まぎれもなく「脳」です。良く「体で覚える」なんて表現もしますが、実はこれも脳内の記憶です。

覚えたい事は記憶し、忘れたい事は記憶したい。私達が意識的に記憶をコントロールできればいいのですが、どうもそうはさせてくれないらしい。

「ルール」がある。脳の特性に適応した「記憶のルール」を守らないと、人は覚えたい事を覚える事ができません。

今回は、記憶のルール・その壱、『覚えるタイミングを守る』について説明します。

繰り返し反復する記憶法は絶対的ルール

さて、前回説明した「エビングハウスの忘却曲線」をもう一度見てみよう。

このグラフによると、覚えたことを、「1時間で56%、1日で74%も忘れてしまう」。と示してはいますが、あくまでこれは、一度きりだけ覚えた場合の忘却です。

私達は、覚える、または暗記するための行為といえば、すぐに行なうのが「反復」です。繰り返し見る、声に出したり書いたりする事で覚える事ができる。

実は、この「繰り返し(反復)」は、理にかなった記憶法です。

詳しい説明は改めてしますが、脳は繰り返し入ってくる情報を「重要な情報」だと判断し、忘れない記憶として保管する特性をもっているからです。

「覚えたい事は反復する」。すべての記憶法の最低ルールだと認識してください。

そういわれると、「結局は反復なの??」と、面倒臭さを感じましたか?

「面倒だ」「大変だ」と感じた方はもしかすると、子供の頃の「九九」や、英単語の練習帳にひたすら何回も書き込んだ記憶を思い出したのかもしれません。

「九九」や英単語をひたすら繰り返し書き込んで覚える行為は、「反復」ですが、この反復は、「覚える」ための行為ではなく、「慣れる」ための行為なのです。

私達が、「九九」を今でも記憶しているのは、もっと別の理由があります。脳の「記憶のルール」に添った覚え方をしているから今でも忘れないのです。

その理由は、これから説明する、「記憶のルール」に基づいた「反復」の仕方をしれば、すべてクリアになるでしょう。

反復は“ 忘れかけた ” そのタイミング

では、英単語を30個覚えなくてはいけないとしましょう。

まずは、英単語を30個を声に出したり、書き込んだり、覚え方は自由です。従来のように、練習帳に何度も書き込むことでスペルの綴りに慣れ、より効果的でしょう。

但し、何度繰り返し練習帳に書き込もうが、何度も声に出して発声練習しようが、集中的に練習した行為も、“ 覚えた行為は「1度だけ」”です。

どういうことかといいますと、集中的に覚えた事は、ほぼ時間の差はないはずです。

「エビングハウスの忘却曲線」をもう一度見てみよう。

このグラフをよく見ると、人が忘れるのは、集中的に声に出したり書き込んだりした練習量の違いでしょうか?

いえ、忘れる要因は、「時間の経過」です。どれだけ集中的に覚え込んだとしても、「1時間で56%、1日で74%も忘れてしまう」のです。

思い出してみよう、学校の試験の前夜に徹夜漬けで必死に覚えたや、テストの直前に詰め込むように覚えたことは、テストが終わるとほとんど忘れてしまっていたはずです。

どれだけ必死に集中的に詰め込んで覚えたとしても、その忘却率は同じです。

英単語30個を、一気に100回程書き込んでも、200回書く練習をしたとしても、その翌日にはその約7割は忘れてしまう。時間の経過による忘却とはそういうものなのです。

そう考えると、昔ながらの暗記法がいかに非効率的なのかがわかります。

ではどうすればいいか?どうすれば、効率的に覚える事ができる「反復」をすればいいのでしょうか?

重要なのは、「タイミング」です。

繰り返す時間のタイミングさえ守れば、100回も200回も書き込むことなく、効率的に覚える事ができます。

「エビングハウスの忘却曲線」によると、1時間後で56%忘れるとされています。1回目に覚えた事の約半分は1時間後になると忘れてしまう。

つまり、覚えた直後から、1時間の間は、“ 忘れかけている ” という事。

この、“ 忘れかけている ”タイミングこそが、記憶を定着させるための重要なポイントなのです。

1回目の反復は「30分後」がベスト

“ 忘れかけている ”タイミングで、再び覚えなおすことがなぜ、効率的なのか?

初めに英単語を30個覚えたとします。

そして、その20分後には、56%は忘れてしまうので、単純に、英単語は44%しか覚えていないということになります。

このタイミングで、再び英単語を30個をもう一度覚えなおします。1回目の「反復」です。

すでに44%は覚えているはずなので、労力は初めよりも少なくて済みます。

ただ単に、労力が少なくて済むという理由で、忘れかけたタイミングで反復しましょう。ということではありません。

100文は一見に如かず。以下の図をご覧ください。

忘れかけたタイミング、仮に30分後に再び反復した時のその後の忘却曲線を見ると、その1時間後、1日後、1カ月はやはり徐々に忘れる曲線を描きます。

しかし、1回目の忘却曲線と比較するとどうでしょう。1カ月後の覚えている割合が上昇していることがわかります。

つまり、始めは英単語を30個を覚えなくてはいけなかったのが、30分後には、その約半分だけ覚えればいいという事で、それが新たなスタート地点です。

そして、その新たなスタート地点を起点とし、忘却のメカニズムは同じ曲線を描くため、その後の記憶量は、「反復する」ことでアップするということです。

理解できたでしょうか?これが、「繰り返す」「反復する」ことによる記憶の効果なのです。

ですが、それだったら、タイミングなんて関係なのではないか?何も、30分後でなくても1週間後でも、1カ月後でもいいのではないか?と思うかもしれません。

それなら、以下の図をご覧くだされば、30分後がなぜベストなのかが分かると思います。

時間の経過とともに、忘れてしまう量は多くなります。30分後では、半分くらい覚えているはずですが、1週間には約3割しか、1カ月後にはもっと少ない1割程度しか記憶に残っていないかもしれません。もっというと、完全に忘れてしまっていることも十分にありうることでしょう。

つまり、再び反復するにも、時間がたてばたつほど、覚えなおす量は多くなり、完全、忘れてしまっているとなると、また改めて英単語を30個覚えなおさないといけません。

1回目の反復は、30分後がベストだという事が理解できたでしょうか?

今回はここまでです。脳の「記憶のルール」に基づいて、少しづつ学んでいきましょう。

次回も、記憶のルールに基づいた「反復のタイミング」の続きです。