まともな「効くキャッチコピー」は考えない過ぎない方がいいかも

キャッチコピーを考えるのは苦手です。
そして私もその一人です。どれだけ脳内放浪して汗かいて考えても、世界中に溢れかえる「すげーっ」てキャッチコピーに勝るほどの斬新なコピーを思いつけるアイデアは生み出せない。
かといって、アイデアは空から降りてはこない。残念ながら、アイデアというものは、どこからともなく降臨したりはしない。
降ってこないため、考えつくした私のミイラ脳は、しまいにこう言ってる。
「オメーごときがいくら考えても誰も見ないし、振り向かねーよ。ヤメトケ、ヤメトケ」と。
その場に崩れ落ちそうになりながら、震える膝頭を押さえているわけです。
すると、どうでしょう。アイデアは空から降ってこないかもしれないけど、ヤメトケって脳内の言語中枢から聞こえてくるけど、膝間づいたことで、実は足元とか、すぐ隣とかに、「これ使えるんじゃね?」っていう参考になるコピーは沢山あるじゃないか。
キャッチコピーは、考え生み出すものではなく、「探す」ことから始めるのが基本だったりする。
決して「パクる」ではありません。具体的には、発想ではなく、発見。
「探す」→「抜き取る」→「当てはめる」
この基本手順こそが、キャッチコピーのビギナーズマニュアルであり、ミイラ脳でもサクッとに作れる「フレームワーク」なのです。
自己満足のキャッチコピー
キャッチコピーを「ウーン、ウ~ン」って唸りながら、インスピレーションを巻き起こそうとしてしまいますが、それは、「ウマい、シャレた言葉の言い回し」にしようとするからではないだろうか?
キャッチコピーといえば、どんな言葉を思い浮かびますか?
おそらく、ほとんどの方が、テレビのCMなどで耳にしそうな、次のような「イカした言葉」ではありませんか?
「i’m lovin it(マクドナルド)」
「明日の空へ、日本の翼(日本航空)」
「わたしらしくをあたらしく(ルミネ)」
「ドトール、のち、はれやか(ドトールコーヒー)」
これらの大手企業のキャッチコピーは、誰もが記憶に残る秀逸なコピーです。テレビのCMのサウンドロゴに使われることで、企業名とともに企業のメッセージとして広く拡散させる効果があります。
しかし、残念ながら、セールスコピーライティングの世界では、これらはキャッチコピーとはいいません。
なぜなら、こうしたおしゃれで、心に残るセンスの良い言葉、いえ率直にいうと、自己満足の言葉では、お金はうまれない。
“ 商品を買ってくれるための伝える言葉ではない ” からです。
セールスに必要なキャッチコピーは、心に残る「言葉のフレーズ」ではなく、お客様目線に立った「効く売り文句」でなくてはいけないのです。
どうしてもキャッチコピーを書こうとすると、無意識のうちに気のきいたコピーを書きたいと思ってしまうため、「何をいうか」ではなく、「どういうか」を考えてしまいがちです。
「どういうか」という “ 言葉 ” の言い回しだけを考えようとしてしまうため、 「何をいうか」という “ コト ” に向けた本来の目的から離れてしまうのです。
あなたは夜空を見上げ、「あれがオリオン座だよ」って指さして説明しているつもりだが、実は「夜空に向けた僕の指を見てごらん」って言ってるようなものです。
本来なら夜空のオリオン座(何を)を見てもらいたいのだが、夜空のオリオン座を差す指(どう見るか)を見せているにすぎないという事。
ここが曖昧になっていると、「何をいっているのか」ではなく、言葉の言い回しだけの「どういっているのか」にしか読まれません。
ベネフィットとは商品の「ウリ」でどんな「コト」ができるか
「何をいうか」をもう少しわかりやすく言うと、ユーザーが求めている便宜(ベネフィット)を考える方法が手っ取り早い。
ベネフィットとは、顧客が買うのは商品という「モノ」ではあるが、叶えたいのはその商品でどんな「コト」ができるのか、という根源となる目的をいう。
ベネフィットを伝える有名なキャッチコピーに、「顧客が求めているのはドリルではなく穴だ」というものがあります。
電動工具のドリルという商品を買うとき、それを買うひとが欲しているのは、電動ドリルという「モノ」ではなく、穴をあける「コト」だということです。
穴をあける「コト」が目的で、電動ドリルという「モノ」は手段に過ぎないということ。
「何をいうか」というのは、求められる便宜さ、つまり「コトが何であるか」をちゃんと定めることが第一です。
ですが、ここでちょっとした「?」があります。
顧客が求めるベネフィットが、穴をあける「コト」だというなら、何も電動ドリルじゃなくてもいいわけです。最悪「キリ」でもいいし、キツツキでもよかったりする。
ですが、売りたいのは「電動ドリル」だとします。キリでもなく、キツツキでもない、電動ドリルを買ってもらう理由を伝えないといけない。
その、電動ドリルを買う理由を伝える手立てとなるのが、その商品の「ウリ」。
その商品の「ウリ」ことが、キリではできない、キツツキではできない唯一の「USP = 差別化」なのです。
求められるベネフィットとは、商品が持つ「ウリ」で、ユーザーのどんな便宜が可能なのかをちゃんと伝えること。
例えば、電動ドリルの機能性の特徴やウリにはいろいろあります。
ドリルで穴をあける時の「振動」が少ないことがウリ、ドリル本体の「軽さ」や「コンパクト」さがウリ、「ウィーン」って電動ドリルが回転する音が静かなのがウリ、などなど。
振動が少ないウリならば、「圧倒的な低振動で軸がブレナイ穴あけが可能!」とかになる。
つまり、商品の特徴やウリが何であるかをしっかり把握し、その“ ウリをベネフィット置きかえる ”ことで、差別化したコピーになるのです。
ベネフィットを入れよう
さて、商品が持つ特徴(ウリ)と、そのウリでどんな便宜(ベネフィット)があるかが決まれば、後はキャッチコピーにするだけです。
キャッチコピーって聞くと、いかにも「言葉の上手さ」を考えようとしますが、それは大きな勘違いです。
セールスコピーにおけるキャッチコピーに求められるのは、心に残る言葉のフレーズではなく、「興味」を持ってもらう事が重要な要素です。
冒頭でも同じような事をいいましたが、たとえば、「ココロも満タンにコスモ石油」という有名なキャッチフレーズがあります。
これは、コスモ石油グループの社員一人ひとりが自覚や仕事への誇りをもち、事業のあらゆる側面で社会からの信頼を受け、お客様にご満足頂く業務に取り組もうという意思が込められたスローガンなのです。
このキャッチフレーズで、「給油はコスモで満タンにしたいっ!」てなりますか?
ならないですよね。それだったら「本日限りリッター2円引き!」の方が飛びつきやすいでしょう。
商品のキャッチコピーは、心に残る言葉のいいまわしではなく、顧客がとびつきそうなキーワードを含める事が必要です。
そのとびつきそうなキーワードが、先に説明した「どんな便宜(ベネフィット)があるか」です。
キャッチコピーは「探して、ハメる」が基本
小学生のとき、遠足とか旅行とかの行儀にいくと、その翌日とかに「感想文」をかいて、文集に載せたりするじゃないですか。経験、ありますよね。
姫路に行きました。お天気がどうで、ガイドさんがキレイな人で、姫路城に行って、キラキラしたキーホルダーを買って、公園でお弁当を食べて、ウインナーをすかさず食べられて、帰りのバスでアニメ映画を観て云々。
そんなアレコレを感想文に書きます。旅行があるたびに何度も何度も。
そこで、「姫路」に行った。を「神戸」に行ったに置きかえると、ほら、そのまま出来上がります。
この手の感想文ってテンプレートの最たるものだったりするでしょう。おそらく先生も感想文のテンプレに気付かず、思い出の文集に載せてくれたのでしょう。
実際、押入れの奥底に閉まっておいた懐かしの我が文集を今見ても、テンプレ感なしに、「なつかし~」「何書いてんのか意味わかんねー」とか、ちゃんと思い出に浸ることができるわけです。
ベネフィットを伝える「キャッチコピー」をつくる簡単な方法と手順は、「探す → フレームを抜き取る → 当てはめる」で簡単にできちゃいます。
まずは、「探す」。
今なら、いろんなキャッチコピーが、ネットで検索できますし、これいいなって思える参考になるコピーは沢山あります。
キャッチコピーは、「考えるもの」ではなく、「探すもの」です。
たとえば、「春までに恋人ができるカラダづくり」というキャッチコピーを見つけたとしましょう。(※「Hanako」という雑誌のキャッチフレーズです。)
次にこのキャッチコピーの「フレームを抜き取り」ます。
「春までに恋人ができるカラダづくり」
↓
「○○までに恋人ができるからだづくり」
そして、○○に別のキーワードを「当てはめる」。
「夏までに恋人ができるカラダづくり」
「クリスマスまでに恋人ができるカラダづくり」
「卒業式までに恋人ができるカラダづくり」
「バレンタインデーまでにできるカラダづくり」
などなど。
フレームの抜き取り作業をもうすこし幅を利かせ、伝えるべきベネフィットを当てはめてみます。
「春までに恋人ができるカラダづくり」
↓
「○○までに○○な○○」
すると、
「夏までにTシャツの似合うカラダづくりができる」
→(ベネフィット:夏までにTシャツの似合う)
「一人でのんびり過ごせるディナー、始めました。」
→(ベネフィット:一人でのんびり過ごせる)
というように、手っ取り早くキャッチコピーを作る方法は、参考とするキャッチコピーを「探し」、そのキャッチコピーの「フレームを抜き取る」、そして別のキーワードを「当てはめる」。
あーでもない、こーでもないと必死こいて考えるよりも、既存のコピーの「テンプレート」を利用する方が、よっぽどいいキャッチコピーが手早く完成できたりするものです。
キャッチコピーを作るのが苦手な方は、是非ともこのやり方から始めてみて下さい。
キャッチコピーは、考えるのではなく、探すもの。
「発見」するまで探すもの。
そして、何度も何度も、探して見つけて、それにハメて、書きおこして、作りまくって、響きを確かめまくりを繰り返すことで、もしかしたら、あなたオリジナルの「効くキャッチコピー」を発想できるようになるのではないだろうか。
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