無償で提供し合う経済圏 – 真の無料 –

無償で提供し合う経済圏 – 真の無料 –
執筆者イラスト
基さん

さて、今回は報酬をもらわない4つ目のフリーモデル「非貨幣市場」について紐解いてみよう。

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メク

はじめまして。「メク」といいます。今回は私も一緒に「フリー」について勉強したいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

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基さん

メクちゃんこんにちは。こちらこそよろしくね。では早速、スタートです。

非収益化を旗印とする無料の世界

生活が物理的な豊かさで満ち溢れている現代において、精神的な欲望を満たすために、「何かに貢献している自分」を確認できる場を求めている。

して、そのような場には、お金を払ってでも行いたい。そんなニーズは確かに存在するようだ。

4つめのフリーモデル「非貨幣市場」は、商品やサービス、情報を受け取る側が「無料」であることに加え、それらを与える提供者までもが無償の労働でおしみなくサービスやコンテンツを与える贈与経済の市場で成り立つものだ。

報酬やそれに見合う対価を請求することなく、人にモノを与えるという。

家で家事の手伝いをする時は普通、その報酬はなく、無償の労働です。しかし、全く同じことをしたとしても、それを給与という報酬が与えられる職業もある。

後者は、お金をもらえるという欲求が労働力を支える一つとなっているのは分かるが、前者の無償で働くその「動機づけ」はいったい何なのか?

人に与えたいギブアンドギブの「心」なのか?それとも、強制的にさせられたものなのか?人によってそれは様々かもしれない。

しかし、インターネットの登場により、贈与経済と無償の労働で成り立つ「非貨幣市場」は確かに存在し、そこには「無料だから」「タダだから」という低品質なやり取りは全くない、「真の無料」の世界がある。

オンラインの世界に入ると、突如として無償による贈与が活発化される非貨幣市場ではいったい何が起き、そしてそこから気づくことは何かを解くヒントになるかもしれない。

お金が大事だということは間違いない。衣食住を支え、あらゆることを可能にしてくれます。だから人は自らの働きに報酬を求める。それは短期的な事ではなく、おそらく一生。

しかし、長期的な報酬となると、お金目当てで行動しても、時として上手く行かない面がある。

アップル創始者の「スティーブ・ジョブズ」氏は、「お金が目当てで会社を始めて、成功させた人は見たことがない」という発言をしています。

なんとなく儲かりそうだから…ということだけで、ビジネスを始めても上手くいかない。自分の嗜好や能力の問題が、二の次になってしまうためだ。と明言。

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メク

ん~。ジョブズさんのいってる事はよくわかりますが、結果しっかり儲けてるわけだし、それになんとなくですが、後付けのセリフのようにも思えます。

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基さん

そうだね。メクちゃんがそう思ってしまうのはわかります。世の成功者のインタビューや名言は必ずそれを成し遂げた後で、「かっこいい、すごい」自分をアピールしたいがための名台詞だといわれています。

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メク

やっぱりそうなんですか?そう思いたくないけど結局注目されたいのかな~って思っちゃいます。でも、このジョブズさんを始め多くの成功者の方の名言で励まされることもあり、これはこれでステキだとおもいます。

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基さん

鋭い考察だね。メクちゃんが感じる「注目されたい」という感情は、成功者が発する言葉のホンネです。「注目されたい」「評判になりたい」「影響力を与えたい」というホンネは、実は、「非貨幣市場」を紐解くヒントになるのです。

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メク

えっそうなんですか?なんか私、もっと素直にならなきゃ~ってちょっと反省してたんですけど・・・

無償を支配するのは何か?

金銭が支配しない、「非貨幣市場」では、何が支配しているのだろうか?

人々はいつでも何かをつくり、何かを魅せ、何かに貢献することに「無償」で与えてきた。

それを「仕事」と呼ばなかったのは報酬をもらわないからだが、私たちが他人に無償で助言をしたり何かをしてあげたりするその行為一つひとつは、違う状況では誰かが仕事にしているかもしれない。

にもかかわらず、無償の労働意欲を動機づけるのは、お金でなければなんなのだろうか。

贈与経済を動かしているのは寛大な「心」だ、と多くの人は思っているが、人々が無償で何かをするのはほとんどの場合、自分の中にある本能の欲求という「理由」がある。

それは、楽しいからであり、何かを言いたいから、注目を集めたいから、自分の考えを広めたいからであり、無数の個人的理由。

何かに貢献をし、影響力を与え、評判になりたい、注目され認められたい「自己実現の欲求」が非貨幣市場を支配しているといえる。

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メク

人が「認められたい」という承認欲求があるのはわかります。私もそうですから。でも、どうしてブログやユーチューブとかネットで発信できる媒体のほとんどが「無料」なんですか?タダという事で人が集まりやすいから?

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基さん

そうだね。冒頭でジョブズ氏がいう「お金目当てはよくない」という名言は、ホンネであり、ホンネでないかもしれません。しかし、メクちゃんの感じた「注目されたい」という心境は疑いなくホンネだとしたらどうか?

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基さん

注目されるには、当然注目する多くの人に見てもらう必要があります。しかし、それを見てもらうために「お金」が必要だとしたら、果たして多くの人は見てくれるだろうか?注目されるだろうか?

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メク

私だったらやっぱり無料をえらんでしまいます。でもそれはほとんどの人がそう選択するとおもうのですが?

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基さん

だよね。私も同じです。お金を払うにはその価値が前もってわかっているとか、緊急を要する事態だったり、やみくもの浪費することはありません。

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基さん

私の知り合いに、10年間ほぼ毎日欠かさずブログを書きつづけている人がいるのですが、その人に「どうしてブログ辞めないんですか?」って尋ねると、思いがけない返答がかえってきたんです。てっきり、「好きな事だから」とか、「書くことが楽しくてやめられないから」といった事をいうのかと思えば、そのブロガーさんは、「みんなが無料でアクセスできるから」だという。

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メク

なるほど~。確かに、ブログにしろ、ユーチューブ動画にしろ、これだけ多くの人が発信していることを考えると、やっぱり「注目されたい」ためであり、無料で見てもらえるネットを利用しないわけがないということかぁ。

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基さん

しかし、実は単に「無料」だからアクセスする、承認欲求を満たすために無料で発信する、という解釈だけではこの「非貨幣市場」を紐解いたとはいえないんだね~。

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メク

え?どういうことですか?お金のやり取りがない非貨幣市場の仕組みがようやくわかってきたのですが、それではおわらないということですか?

フリーモデルの価値観の本質とは?

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基さん

もう一度、「世の中にタダというものが本当にあるか?」という事を考えてみて下さい。非貨幣市場は報酬を求めないフリーモデルではあり、承認欲求を満たすための市場です。

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基さん

注目されたい、認められたい承認欲求は、情報発信者です。その一方でその情報を受け取る人の立場を考えた時、たとえ無料でアクセスできたとしても、やはり「無料」であることは確か。

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基さん

メクちゃんは、重要な事を調べたい時、絶対信頼できる発信者のサイトが会員登録なしの「無料サイト」だった場合、そこに記されている内容を真に受けとりますか?

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メク

ん~?私だったら信じてしまいそうですが、本当に信頼できるサイトなのかどうかはわからないし、それにやっぱり無料だからそれなりのことかなって、何となく疑いの目で見てしまいそうです。

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基さん

そう。そこなんです。いくら無償の労働に貢献し、贈与経済が成り立つといえど、無料のやり取りが拡大しつづけてしまうと、本来価値あるものが、価値のないモノへと変貌しかねないという事です。

フリーが主流になった今の時代、あらゆる情報を無料で手に入れる事を可能としつつある。

しかし、「デジタルデータ=無料」という価値観がこのまま根付き、「情報=タダ」が前提となればどんな世界を想像するだろうか?

少しでも課金しようとした瞬間ほとんどのユーザーが離れていく。無料でなければ門前払いされてしまうのだ。

本来価値ある情報は、フリーを前提として、それからうまく課金する方法を模索しなければならない。

フリーは消費者の心理にこれまで以上に強い影響を与えてはいるが、だからといって、無料であれば十分というわけではない。無料のモノやサービスが有料のものと釣り合って発展する必要がある。

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メク

そっか~。何でもかんでもタダになってしまうと、かえって自分たちの首をしめるようになるということですね。しかし、しかしですよ。無料で満足している人に「お金を払ってください」と要求するのは簡単ではないと思うのですが?

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基さん

そのとおりです。特に非貨幣市場は報酬を求めないフリーモデルであり、お金目的ではありません。しかし、「お金を払ってください」ではなく、情報を受け取る側が、自ら「お金を払いたい」または、「お金を払いっていい」と思ってもらえる価値感を提供できるとすればどうでしょうか?

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メク

よほど価値のあるモノならお金を払ってもいいとは思いますが、でもやっぱりタダならタダのままがいいと思います。

執筆者イラスト
基さん

なるほど。では、メクちゃんに尋ねます。メクちゃんは確かコーヒーが好きでしたね?では、「今日からずっと、無料コーヒーだけを飲み続けて下さい。」といわれるとどう思いますか?

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メク

そりゃぁ、たまには本場のおいしいコーヒーも飲みたくなりますよ。だって、無料コーヒーばかりだと飽きちゃうから。・・・っあ!そういうことですか!

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基さん

どうやら気づいたようですね。そうなんです。たとえ無料でも人はいずれ物足りなさを感じ、さらにいいものを欲っしたい願望が芽生えてくるというもの。人の欲求には限界がありませんから。

デジタル情報は勝手に無料化する

ネットの情報が「無料化」するのは、コストがかかりにく理由とは別の要因が考えられます。

ネット上にある情報は、底知れない程にまで溢れかえっている。ネット情報が供給なら、その情報を受け取る側は需要者だ。

需要と供給のバランスを考えた時、ネット情報が増えれば増えるほどその価値はさがります。価値の下がった情報に人は、金銭を払いたいとはおもわないだろう。

ネット上の情報量はとめどなく増え続けるのは仕方がないことだが、人のデジタル情報に求める事は、「無料」。

溢れるネット情報は、勝手に「デジタル情報=タダで手に入る」と自然発生的な無料化を構築してしまう。

だからこそ、ここまでが無料、ここからが有料という線引きが必要なのです。

真の無料はいずれ報酬となる

モノが豊富な今の時代、消費経済市場では、自分に適したモノを選択します。それは、自分で払えるモノしか買えないからです。世の消費市場というものはそういうものであり、今後もそうあり続けるだろう。

しかし、ネットの世界は、あらゆるモノが無料という入口が設けられており、ダらもがインすることができる。

そして、本当に自分にとって価値のあるものを選択し、おしげもなく自然とお金を支払う価値を感じるもの。

金銭以外を動機付けとし、行為を無償で提供し合う経済圏こそが「非貨幣市場」のフリーモデルであり真の無料といえます。

しかし、その無償の行為は、世にいう無料の価値を感じさせないカラクリがある。

時間を節約するためにお金を払う人がいる。リスクを下げるためにお金を払う人がいる。
自分の好きなものにお金を払う人がいる。

そういった本当に価値あるモノを無償で提供すれば、いずれ人はお金を払ってくれる。

フリーのまわりにはいくらでもお金を稼ぐ方法がある。フリーは新しい顧客を獲
得するドアを開けてくれる。

無料だからと言って誰からもお金をとれないわけではない。

しかし、フリーは無敵ではありません。 「スティーブ・ジョブズ」氏の、「お金が目当てで会社を始めて、成功させた人は見たことがない」という発言を忘れないでいたいものだ。