「何をどうやるか」より「なぜやるか」の動機付けをする伝え方

「何をどうやるか」より「なぜやるか」の動機付けをする伝え方

私たちは、何かを伝えるために説明したり、文字を使って文章でいいたい事を伝えたりもします。

ただ話を聞いてもらう、ただ文章を読んでもらうだけでいいのならそれまでですが、伝える相手に「行動」してもらうことを願っているはずです。

というのも、商品を売るときのセールスコピーは、「この商品はいい商品だ、欲しいなぁ」と思われるだけでは意味がありません。

“ 買う ” 行動を聞き手や読み手に促すことができなければ、セールスコピーではなく、今ここで執筆しているブログのように読み物としての文章に終わってしまう。

ブログとセールスコピーライティングに書く文章は、同じようで同じでない。

ブログは書き手の書きたいように自由に書けるのが、セールスコピーは読み手に「行動」してもらうことが目的。

なので、ブログは読んで頂くことで、どう感じとってもらうかを問われますが、セールスコピーは、どう反応さるかが問われるのです。

ブログを書く技術はあるようでないに近いものがありますが、セールスコピーは「書く」というより、「作る」。その技術の知識習得が必須。

販売サイトや広告を手掛ける方にとって、それは大きな課題であり、そう簡単には習得できないもの。

そんな方に、今回のお話は、非常に参考になるのではないかと確信しています。

相手に「行動」してもらうにはどうすればいいのか。

セールストークやセールスライティングをするときのみならず、人に教えるとき、指導するとき、説得するときなど、全てこちら側の発信。

発信者側のアプローチの仕方が、相手のアクションを左右するということです。

そのアプローチには、人を動かすための最適なアプローチがある。すなわち、共通する普遍的な法則があるという事を知っているだろうか。

さて、相手に行動してもらうためには、伝える側のアプローチの仕方があるといいました。

それは、「何を」伝えるのかではなく、「どのように」を伝えるのでもなく、「なぜ」それを伝えようとしているのか。というあなたの信念を初めに伝えることなのです。

この「なぜ、それをするのか」という伝え方を「ゴールデンサークル理論」といいます。

ゴールデンサークル理論はマーケティングコンサルタントのサイモン・シネック氏が優れたリーダーや組織に共通する概念を、理論化したものです。

2009年のTEDのプレゼンテーション「優れたリーダーはどうやって人の行動を促すか」ではアップル、キング牧師、ライト兄弟などを例に、「ビジョン」の大切さを説いたことで一躍有名になったことで、もうすでにご存じの方もいらっしゃるでしょう。

今回は、この彼の「ゴールデンサークル理論」をセールスライティングでも活かせると思ったので、この理論に基づいた解釈で私なりに紐解いてみました。

ページの最後に、彼のTEDのプレゼンテーションのユーチューブ動画を貼りつけておきますので、まだご覧になっていない方は、是非とも一度、見ておこう。

人は「価値観」で自ら動こうとする

「人は感情で行動し、理屈で正当化(納得)する」

マーケティングを学んだ経験のある方は、この言葉を染みつくほどに聞いたことでしょう。この事は、まぎれもなく事実だと確信しています。

理解はしているが、実際それをどう表現すればいいのかを知らない方も多いのではないでしょうか?

「人は感情でモノを買う」というのは、例えば何かモノを買った時、「これはいるものだから買った。」「ずっと欲しかったから買った。」という論理的な理屈は、実は後付け。

人が「買おう!」と決める瞬間は、何かを得たいという欲求からくる感情、何かの苦痛を解消したいという感情など、こうなりたい、ああなりたいという直感的な「感情」が人の行動スイッチが入るのです。

人の意識的な行動も、無意識の行動も、すべて「感情」によるもの。ということです。

ひとことで感情といっても、嬉しい、悲しい、腹が立つ、悔しい、辛い、おもしろい、ほしいなど、シーンによっていろんな感情があります。

そして、その感情表現は、十人十色で人それぞれ違う。あなたが「嬉しい」と思うことは、別の誰かにとって「悔しい」と思う事もあり、あなたが「おもしろい」と思う事が他人には「腹が立つ」という感情を抱く事さえありうるのです。

なぜか。それは、人それぞれのこれまでの人生における経験によって刷り込まれてきた「価値観」や「信念」が異なるからです。

あなたの「価値感」や「信念」は、あなたの経験に基づいた判断基準で、何かを決定する際の「動機」になります。

「動機」とは、あなたが「なぜ行動するのか」の源泉、つまり、あなたの行動も、他人の行動も、それを決定づけるものは、それぞれの「価値観」や「信念」なのです。

例えば、子供のころに犬に嚙まれた経験のある人は、犬が近づくだけで、「怖い」という直感的な感情表現をします。

それは、犬にかまれた経験によって、「犬は嚙みつく」という意味づけが刷り込まれ、「犬は嫌い」という価値感が生まれます。

そして、その価値感はその人の行動の動機付けとなり、頭の中で「嚙まれた経験があるから」という理屈なしに、とっさに逃げようとするはず。

「怖い」という感情が、「逃げる」という行動を促し、後から「嚙まれた経験があるから」という理屈が後付けで解釈される。

反射的に(無意識に)体が反応したと思えるが、その反射的な行動も、あなたの潜在意識に刷り込まれた価値感に基づく感情により反応してるのです。

人が自発的に行動するその動機は、すべてその人の「価値感」や「信念」。

では、逆に、他人から言われたことで行動することは、その人の「価値感」や「信念」に基づいていないため、行動しようとしない。ということです。

他人に、「やってください」「こうしなさい」と言われても、その人の「価値感」や「信念」にマッチングしないと「したくない」「話したくない」など反発的な感情表現をしてしまいます。

なので、「こうしてください」といった内容が、その人の「価値感」や「信念」にマッチングすると、迷わず直感的な感情により行動しようとします。

ですが、だからといって、その人の価値感に添った事でしか動かないのでは困ります。

じゃないと、説得することも、モノを売る事も、指導するなどの行為が価値感や信念に合わないと行動してくれない事になってしまいます。

もちろん、他人を無理やり行動させようとしたり、自分の意見に従わそうとしてもダメ。そんなことは、その人の価値感や信念を覆すことで無理な行為です。

さて、ここからが重要です。

感情に訴えるのは「価値観よるに信条」

人に説明したり、何かを売ろうとしたり、指導したりするとき、「何を」「どのように」するかを伝えようとしてはいけない。

あなたが「なぜ、それをするのか」という、伝える側の「価値観よるに信条」を先に伝えるべきなのです。

「信条」とは、伝える側の価値感やモットーなどの信念を外部に発する行為をいいます。

あなたの「価値観による信条」は、他人の「価値感」や「信念」に最も伝わりやすく、その人の感情を揺るがすものなのです。

例えば、次のプレゼンの事例をみてみましょう。

私たちは、これまでにない○○というコンピューターを開発した。

心に思うだけで調べたい事を自動検索してくれるものだ。心に描いた画像をAI知能が察知し、それを再現させ検索機能が起動する夢のようなコンピューターです。

私たちがこの○○というコンピューターを開発したのは、ある老人が「頭の中ではなんとなく思い出せるのだが、それが何かさえも思い出せない」といった事がキッカケです。

私たち人はそういった、「イメージはあるが、それが何なのかがあやふや」という調べようがないことが多くあります。

そして、私たちは「記憶の想起」を検索するコンピューターを開発することで、迷宮入りした事件や犯罪に貢献できるという信念に基づき開発したのです。

(※このプレゼン内容は架空のエピソードで、あくまで「事例」です)

さて、このプレゼンでは、「これまでにない○○というコンピューターを開発した」という「何を」始めに伝えています。

それから、「どのように」というプロセスや経緯を語り、最後にようやく「なぜ、そうしたのか」という信条を伝えています。

ですが、この「何を」→「どのように」→「なぜ、そうしたのか」という順番で伝えても、聞き手の感情を揺さぶりにくいのです。

なぜなら、「なぜ、そうしたのか」という語り手の「価値観による信条」を先に伝えることで聞き手の心が動かされるからです。

なので、始めに、私たちは「記憶の想起」を検索するコンピューターを開発することで、迷宮入りした事件や犯罪に貢献できるという信念に基づき開発した。という信条を伝えると、聞き手の感情は語り手の信念を「共感」してみようという感情を抱くのです。

つまり、結論をいうと、相手に伝わる流れは、「なぜ、こうしたのか」→「どのように」→「何を」の順で伝える事がポイントなのだ。

それでは、先ほどのプレゼン内容を修正してみます。

世の中の迷宮入りした事件や犯罪が今だかつてないがしろになっているのは、人の「イメージはあるが、それが何なのかがあやふや」という思い出せない記憶があるからだ。

だから私たちは、「記憶の想起」にこそそれらの解決策に貢献するものだという信念に基づきプロジェクトを始めた。

そのいきさつは、ある老人が「頭の中ではなんとなく思い出せるのだが、それが何かさえも思い出せない」といった事がキッカケです。

われわれは、AI知能の活用することで、心に描いたイメージ画像を再現させることができるコンピューターの開発を始めたのです。

そして、ようやく開発に成功したのが○○というコンピューターなのです。

(※このプレゼン内容は架空のエピソードで、あくまで「事例」です)

感情をもって感情を動かす

「何を」「どのように」という論理的な解釈を伝える事よりも、「なぜ、私はあなたに伝えようとしているのか」という感情を伝えることで、「共感」を抱いてもらえるのです。

今回は、「ゴールデンサークル理論」という概念に基づき、「自分が何のためにそれをやるのか?」という信条を伝え、まずは相手を巻き込み共感を得る事が大切だという事を学びました。

あなたはどう感じたでしょうか?どういう感情を抱かれたでしょうか?

私の説明が、彼の理論の解釈とのズレがもしかすると無きにしも非ずです。

是非とも一度、彼のプレゼンをご覧になってみて下さい。

なぜから始めよう ― 優れたリーダーはいかに行動を奮い起こさせるか | サイモン・シネック | (TED動画)

(※字幕をクリックすると、日本語で文字起こしされます)