戦略的思考最強の頭脳プレイ「ゲーム理論」の思考法

戦略的思考最強の頭脳プレイ「ゲーム理論」の思考法

早速ですが、お金をもらえるゲームをしましょう。

お母さんは、A男くんとB子さんの2人の子供におこずかいを上げようと思いました。

お母さんの手元には4万円があります。

この4万円を2人の子供(A男とB子)におこずかいとして分け与えようと思ったのですが、お母さんは、次のようなルールを2人に課した。

お母さんはまず、A男くんにこう尋ねます。

1万円のおこずかいがほしいかい?

欲しかったら「イエス」とこたえてください。2人に1万円ずつ公平におこずかいをあげよう。

しかし、A男が「ノー」と言えば、続いてB子に同じく「イエス」か「ノー」をこたえてもらうね。

B子が「ノー」と言えば、2人に2万円ずつ公平におこずかいをあげよう。

しかし、B子が「イエス」と言ったら、A男には0万円、B子には3万円をあげよう。

少し分かりずらいと思うので、下の図を見ながらお母さんのルールを確認下さい。

さて、お母さんが決めたルールは把握されたでしょうか?

あなたは「A男くん」だとします。そして相手は「B子さん」です。

まず、あなた(A男くん)が「イエス」と言えば、2人は1万円ずつだけをもらう事ができる。

そして、あなた(A男くん)が「ノー」とこたえた時、B子さんが「イエス」と言えば、あなた(A男くん)は0万円で1円ももらえずしかも、B子さんだけが3万円をもらえることになってしまいます。

だが、B子さんが「ノー」と言えば、2人とも2万円ずつもらう事ができるのです。

さぁ、あなた(A男くん)なら「イエス」とこたえるか、それとも「ノー」とこたえますか?

尚、補足しておきますが、お母さんが決めたルールを変えない限り、あなた(A男くん)はB子さんと話しを合いをして「交渉」することができます。

また、B子さんもあなたに「交渉」してくるかもしれません。おこずかいをもらった後なら、それぞれの取り分を変える事も可能だ。

例えば、1万円ずつもらったとしたら、2人合わせて2万円です。その2万円をA男くんが1万5千円で、B子さんが5千円というように、交渉が成立すればもらった範囲内で内訳を変える事もできます。

さぁ、これは「ゲーム」です。

あなた(A男くん)はB子さんという対戦相手に対し、どのような作戦を練りますか?

自分の行動だけを考えて行動を決めてはいけない

それではこれより、あなた(A男くん)とB子さんとの駆け引きのやりとりを説明しながらご覧いただきます。

ゲームのルール図で確認しながら読み進めて頂くと理解しやすいでしょう。

あなた(A男くん)にとって一番の理想は、「ノー」とこたえ、続いてB子さんも「ノー」とこたえてくれれば2万円をゲットできます。

「イエス」とこたえてしまうと、1万円しかもらえないからです。

しかし、B子さんの立場になって考えてみましょう。あなた(A男くん)が「ノー」と言ったとき、果たしてB子さんも「ノー」と言ってるれるだろうか?

B子さんの「イエス」は3万円、「ノー」は2万円の価値です。だったらB子さんは必ず「イエス」を選ぶはずです。

となると、あなた(A男くん)は「イエス」とこたえるべきなのです。あなた自身もきっとそう判断されたのではないだろうか。

つまり、あなた(A男くん)が最初に「ノー」とこたえてしまうと、もうお金はもらえないと想定できる。

だから最初に「イエス」とこたえ、1万円もらうのが、 “ 本当に実現可能な最大の利益 ” なのです。

あなた(A男くん)にとって最大の利益は「2万円をゲットする事」が理想なのだが、それは “ 自分の行動だけを考えて決めた安易な判断 ” なのだ。

相手がいるとき、その相手はあなたと同じように、「最善を尽くそうとする」ということを考えなくてはいけないということです。

さて、このような先読みは、基本中の基本。とくに難しいわけではなかったはずです。

それでは、この基本の先読みゲームのルールをご理解頂いたところで、次の応用編にいきましょう。

ゲームの流れを変える「交渉」作戦

つづいて応用編。とはいっても、先ほどのゲームを少し変形したもので、ルールも同じです。

B子さんが「ノー」といった場合、今度はあなた(A男くん)が最後に「イエス」か「ノー」を選べます。

「イエス」と言えば、A男くんは2万円、B子さんも2万円です。

「ノー」と言えば、A男くんは3万円、B子さんは1万円のおこづかいがもらえます。

下図をみて確認ください。

ご覧のとおり、今度は3段目にあなた(A男くん)の選択権が加わりました。

図を見てみますと、A男くんの理想は最終段階で「ノー」とこたえ、3万円をゲットする事です。

ですが、B子さんは1万円しかもらえないので、2段目であるB子さんの番では、「イエス」とこたえ3万円をもらう選択をするにちがいありません。

となると、A男くんは、最初の段階で「イエス」とこたえる選択が得策といえのだが、結局は1万円しかもらえないことになってしまいます。

なんとしても、2段目のB子さんに「ノー」とこたえてもらわないと、A男くんは1万円以上をゲットできないわけです。

そこでA男くんは、もっとたくさんもらえる方法はないものかと考え、B子さんに次のように「交渉」した。

A男くん:「お互い協力し合おうよ。」

さて、A男くんの「協力しよう」という提案は、お互い公平に2万円ずつおこずかいをもらいましょう。という意味です。

もう一度、ルールの図を見てください。

A男くんの作戦は、2段目のB子さんに「ノー」とこたえてもらう事です。

そのためには、B子さんが「イエス」とこたえるよりも「ノー」とこたえる方が得だと思ってもらわなくてはいけない。

A男くんの「協力して2万円ずつもらおう」という提案をB子さんが受け入れない場合、A男くんは「イエス」とこたえます。

そうなると、B子さんは1万円しかもらえないことになります。

つまり、B子さんがA男くんの提案を受理するのなら、A男くんは「ノー」とこたえ、次にB子さんが「ノー」とこたえてくれれば、お互い公平に2万円ずつもらえる。

なので、「協力しよう」という交渉は、B子さんにとっても、もちろんA男くんにも、その選択が得策だと考えたのです。

しかし、本当にこのA男くんの交渉作戦は思い通りにいくだろうか?

これでは、深読みしたとはいえません。

図を見て気づかれたと思いますが、2段目のB子さんの番の時、「イエス」とこたえれば、B子さんは3万円をゲットできるのです。

そう、A男くんの「協力しよう」という交渉を仮にB子さんが受理したとしても、実はそれはフェイクでB子さんは、「裏切る」可能性も大いにあるのだ。

A男くんが交渉したとき、B子さんが「最善を尽くそうとする」相手の立場に立った多段の深読みをしなくてはいけないのです。

なので、A男くんの「協力しよう」という交渉に、B子さんがのったとしても、シナリオ通りにはいかないことが想定される。

さぁ、どうすればいいのでしょうか?

あなたなら、どう考えますか?

A男くんの交渉をB子さんが裏切らないような作戦を仕掛けなくてはいけないわけです。

常に相手がどう考えるかを先読みしなくてはいけない

A男くんの「協力しよう」という交渉は、お互いの利益を増やすことができる理にかなった提案だが、さらなる先読みが足りないことが分かりました。

何かと利益を増やそうと頭を使ってくるのは、自分だけではなく相手も同じだということです。

そして、相手は「裏切る」可能性もあるということを見逃さないために、常に相手の立場に立って多段の深読みしなくていけないのです。

自分が考える事は相手も同じように考えている。むしろ、相手はさらなる先読みをしているかもしれないということを知っておこう。

それではゲームに戻ります。B子さんが裏切らないように、A男くんが考えた提案は、ペナルティ(罰則)をあらかじめ決めておくという策略です。

もしB子さんが、A男くんの「協力しよう」という提案の受理を裏切る事があるなら、B子さんは2万円未満のおこずかいしかもらえないように約束しておく作戦です。

ここで、A男くんの賢いところが、ペナルティを「2万円未満」に設定したことです。

仮に、ペナルティを「もらえる金額は1万円になる」と設定してしまうと、A男くんの「協力しよう」という提案を受理しないことになります。

なぜなら、A男くんの交渉をB子さんが受け入れなければ、A男くんは「イエス」とこたえ、B子さんにしてみれば、最低でも1万円はもらえるからです。

ペナルティを決めておく目的は、B子さんが交渉を受け入れることが前提で、それを裏切らないためのものだからです。

なので、ペナルティは1万1円以上・2万円未満の間でないと罰則の意味がないというわけだ。

さぁ、これならB子さんも裏切りようがないはずです。A男くんの先読み作戦はシナリオ通りに事をすすめることができるだろうか?

ここで、うまくいくと思った方は、まだまだ先読みが浅い。

今度は、あなたがB子さん立場になって考えてみよう。

あなた(B子さん)は、A男くんの交渉を受理しないと2万円のおこづかいをもらえません。なので、素直にそのまま受理しますか?

A男くんの提案通りだと、お互い公平に、A男くんもあなた(B子さん)も2万円をもらえるわけですが、最初のルールを思い出してみよう。

お互いの分け前は、2万円ずつでなくともよかったはずです。

例えば、あなた(B子さん)が2万5千円で、A男くんが1万5千円という内訳でも、それが成立できれば可能なのです。

あなた(B子さん)にも、A男くんと同じく「交渉」する権利がある。

あなた(B子さん)がもっと多くのおこずかいをもらう事を可能とする「交渉」をすればいいのだ。

ただし、A男くんが必ず受理をする交渉でなくてはいけない。それはつまり、A男くんが「受理せざるをえない提案」をしなくてはいけないということです。

よく考えてみよう。A男くんにとっての理想は、「B子さんが交渉を受理してくれること」です。いってみれば、A男くんの「協力しよう」という交渉権は、あなた(B子さん)次第です。

つまり、A男くんにしてみれば、あなた(B子さん)が「協力しよう」を受理してもらわないという弱みをもっているということです。

つまり、あなた(B子さん)がするべき交渉は、「自分の(B子さん)交渉にのらないとA男くんの交渉は受理しません」という提案が有効なのだ。

さらに、「最終的にもらえる4万円のおこづかいの分け前を、3万円ギリギリまでもらえるようにしてくれますか?」という、あさましい提案さえも受理してもらえる可能性があるのです。

なぜなら、A男くんにとって、B子さんの協力えなくしては、A男くんは頑張っても1万しかもらいないわけです。

ですから、B子さんの協力が得られるならば、たとえA男くんの取り分が1万円よりほんの少し多いだけでも、極端な話、1万+1円でも、B子さんの協力を仰いだ方がA男くんにとっての得策であり、弱みでもあるのです。

よって、B子さんの「自分の提案を受理する」提案と「3万円ギリギリまで取り分をもらえる」という2つの提案による交渉が通るのです。

駆け引き頭脳プレイ「ゲーム理論」の思考法

いかがだったでしょうか。すこし理解しがたい内容だったかもしれません。

今回ご紹介した事例は、相手の行動を読み、最適な選択を導くゲームの思考法。

『ゲーム理論』という経済学分野の一種です。

今回ご紹介した内容は、基礎的な部分ですが、学生の方も、社会人の方も、世の中をうまく渡る術、ゲーム理論の世界を少しばかり覗いていただきました。

ゲーム理論とは何か?

自分と同じように得をしたいと考える相手がいて、相手の考えや行動を考慮した上で、自分が最も得をする最適な方法を決める必要があります。

「相手がいる状況の場合、どんな行動をとるのかベストか?」を考える。

つまり、自分と1人以上の相手がいる時に、自分がどういった行動(戦略)を選んだら、 自分にとって良い(利益が高い)かを考える思考理論を、ゲーム理論といいます。

「ゲーム」という銘々からして、なんとなくおもしろそうで取っつきやすいように思えますが、実はかなり奥が深く理解しがたい内容かもしれません。

しかし、今回ご紹介したような「駆け引き」は、ビジネスの現場や、実生活でも頻繁に遭遇することといえます。

たとえば、会社の待遇が気に入れず、上司と交渉しようか、それとも現状のまま我慢するかを迷っているとします。

この状況そのものを「ゲーム」と捉えます。

このゲームにおいて、あなたは「自分の利益を高めるために交渉する」のか「現状のまま我慢する」のかを判断しなくてはいけない。

交渉して待遇が改善されれば、当然あなたの利益となるが、この交渉がキッカケで上司の関係が悪化し、仕事がしにくくなれば不利益を被ります。

状況を整理すると次のようになる。

【あなた】

→ 待遇改善を申し出る

→ 現状のまま我慢する

【上司】

→ 受け入れる

→ 拒否する

もちろん、実際の現場では別の選択肢もあるでしょうが、上司が拒否する理由を予想し、「その理由をなくすためのアクションを起こす」「中間的な別の条件を提示する」など、さまざまな方法が見つかりやすくなります。

ゲーム理論を理解していると、突発的な感情に任せた行動を起こす前に、自分と相手の選択肢を吟味し、相手がこちらを出し抜こうとしたうえで、さらのその上を行く戦略をとる事を可能とする。

また、協調することで、お互いにとってより良い選択肢を見つけ出すこともできる。

職場や実生活など、自分目線でモノを考えがちなシーンはよくあることです。

しかし、そのために「自分にとって利益がある」と確信している行動が、実はとんでもない損をしている状況が起こりうることもある。

それは、今以上に最適な選択肢がある事に気づいていないといえるのです。

要約すると、自分の選択に対する相手の選択肢を把握し、自分と相手の行動の結果がどのようになるかを考え、最も良い結果になるように自分の行動を取る。

ゲーム理論は「問題を細分化」し「インセンティブ(動機)を解き明かす」学問とも言われています。

感情や直感任せではなく、「こうするのが相手にとっては一番良い。だからこうしてくるだろう。」と相手の立場になって合理的に考えていくことで本質的な問題を絞り込むことができるのです。