ドラッグストアの「食品」が安いワケは?

ドラッグストアの「食品」が安いワケは?

街にあふれる薬局は増加の一途をたどり、最新の統計データ(2018年度末時点)では薬局数は58,678カ所となっています。

ドラッグストア業界は、大手チェーンを中心にM&Aによる寡占化は進行し、今後しばらくは新規出店による店舗数の増加は進むとされています。

今なぜ「薬局」が増えているのか?

コンビニ化するドラッグストア

コンビニエンスストアのビジネスモデルは「個人消費」「即食」「高荒利」をベースに、出店を進めていたが、ここ最近では生鮮スーパーのニーズが強い、シニア層、主婦層といった新規客獲得を進め、かつては、「コンビニ5万店限界論」を呈していたが、その常識さえも破ったのが、コンビニの覇者「セブンイレブン」。

セブンイレブンが一人勝ちしている理由は、従来のコンビニの形態をうまくアレンジすることで、このシニア・ファミリー層に他のチェーンより浸透することができた点が大きい。 ところが、そんなコンビニが新たに獲得した客層を、食品類を強化している「ドラッグストア」が水面下で勢力を増し、市場を奪っている状況だという。コンビニ大手のローソン・ファミリーマートの不調も、このことが原因のひとつとなっていると言えるだろう。

医薬品、化粧品から日用品まで。今や生活に必要なものはほぼそろうイマドキの薬局。 いえ、今ではそのほとんどが「ドラッグストア」。

ちなみに、「薬局」「薬店」「ドラッグストア」の違いは分かりますか?

「薬局」とは、あらゆる医薬品の取扱いのできる場所で治療、つまり調剤を中心とした店舗を意味します。

「薬店』とは、医療用医薬品を除いた一般用医薬品、いわゆる市販できる予防中心の医薬品を取扱う店舗のこと。

「ドラッグストア」とは、医薬品と化粧品、日用雑貨を扱う小売業で、日本のドラッグストアは現在、必ずしも調剤は必須事項に入っていません。 将来的には、調剤を含めて、予防、治療、介護をカバーする業態を目指しているとされる。

今から、約40年前、1970年代に若き薬局経営者が米国に赴き、横浜市磯子区杉田に第1号店を出したのが始まりと言われています。

1980年代後半には、医薬品の他に美容や健康関連商品等を取り揃えた品数豊富な店舗ができ、テレビのCMから日本全国に店舗が急増し「ドラッグストア」が一気にブームに。

店内が明るく、清潔感をもった店舗、そして、ヘルスアンドビューティケアのほか、日常の生活用品が安く買える店として生活者に受け入れられ、「敷居の低い入りやすい薬局」として普及したとされる。

今では、医薬品、化粧品、そしてトイレットペーパーや洗剤などの日用品だけでなく、牛乳、卵、野菜、飲料などの「食品」を取り扱うようになった。 品ぞええが豊富な大型ドラッグストアともなれば、普段の生活に最低限必要なモノはココだけで済ませることもできてしまう。

ドラッグストアで一番売れているのは?

ドラッグストアで「牛乳」を購入されたお客さんは、「ここが一番安い!」という方が多い。 事実、店舗によっては「食品」の価格がスーパーより安いこともめずらしくない。

メイン商品ではないはずの食品が、なぜここまで安く売られているのだろうか? 経済産業省のデータによると、ドラッグストアの商品販売額は約5兆7千億円。 そのなかでも売上の約26%を占めるものがなんと、「食品」という結果。

ドラッグストアの「食品」を安くしている理由は、察しの通り、日常使いの家庭品を安くして、顧客の来店頻度を高めるためです。 確かに、日常の消耗品や食品が安いとなると、主婦層を中心に注目を浴びるキッカケとなるのは必然だ。

しかし、それで儲けを確保できるのか? もともとは薬局。薬屋さんとしてのマーケティング戦略は成立するのか? その秘密に迫ってみようと思います。

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今では私たちの生活の中でなくてはならないものになっている。 コンビニのように、あるいはスーパーのように毎日立ち寄る場所である人も多いだろう。

20年ほど前まではまだ存在は少なく、薬を買う薬局のイメージが強く、現在のような来店頻度は高いとはいえなかった。 それどころか、「あんなに大きな薬店をつくって一体何を買いに行くのか?」などと思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、街の「薬屋さん」だったドラッグストアのイメージは、もう過去のものになった。 徐々に日地用品を販売を展開し、さらに売り上げに大きく寄与したのが安価な「食品」の取扱いによる成功体験だ。

なぜ、ドラッグストアは「食品」の販売を打ち出したのか? 「日常の買い物の場」としての役割を担うため。 ドラッグストアの主力商品である医薬品や化粧品は頻繁に買うものではないため来店頻度は低い。

そこで、購入頻度の高い「食品」の取り扱いを始めた。 大規模な駐車場を備えた地方の大型ドラッグストアは、加工品や冷凍食品だけでなく、卵や肉・野菜などの「生鮮食品」も扱っている。

つまり、購入頻度の高い「食品」を扱うことで、スーパーやコンビニのように気軽に立ち寄ってもらい、来店頻度を上げて売上増に結び付けようというのが狙い。

単に食品を取り扱ったという理由だけで来店頻度を上げることはできないと思われるが、実際ドラッグストアで一番売れているモノは「食品」だという。 わざわざドラッグストアで食品を購入する理由は単純。圧倒的な「低価格」で販売しているからです。

ドラッグストアの食品が安い理由

ではなぜ、ドラッグストアの「食品」が安いのか? ドラッグストアはチェーン展開しているお店がほとんど。 その強みを生かし、一度に商品を多く仕入れる「大量発注」することで、仕入れ原価を大幅に抑えることができます。

さらに、ドラッグストアは大半が直営店であり、同じチェーンでも売り上げの一部を本部に渡す「フランチャイズ」方式が多いコンビニに比べ、経費を削減できるメリットがあります。 売り上げがそのまま利益になるため、商品の価格を上げる必要がなく、安く仕入れて安く売ることができる

しかし、安い食品を多く売ったところで儲けはあるのか? 安く売ればそれだけ儲けも少ないのは必至。 ここにはドラッグストアで買い物をする「衝動買い」があるようだ。

女性はいつでも美しく、そして若々しくいたいと言う強い願望を常に抱いています。その意識は非常に高く、「化粧品」や「美容関連商品」はその心情を突く。

つまり、購買力の高い食品を例え薄利多売したとしても、利益率の高い「化粧品・医薬品」を買って頂くことで全体の儲けを保っている。

化粧品の原価率は約20%未満とされ儲けのいいのに加え、ブランド価値を上乗せして横展開しやすいとされる。 売場では女性をターゲットとした化粧品などの美容関連品が非常に充実しています。

また、商品の入れ替えが早いため、いわゆる流行ものチェックには最適。 スーパーや百貨店でみないようなおもしろい商品に出会えるのも魅力の一つなのだろう。 ふらっと立ち寄り、商品をチェックし、長居をして、買う予定のなかったものまで買ってしまうという。

つまり、安価な食品を目玉として販売してはいるが、女性にとってのトレンド性や情報発信性のある化粧品や美容関連品を「衝動買い」してしまうというもの。 スーパーやコンビニでは実現できないドラッグストだからこそなしうる儲けのカラクリといえよう。

今後のドラッグストアは?

医薬品の購入が不可欠な顧客は、ドラッグストアですべての買い物ができれば良いのにと考えることになります。こうしたニーズは既に存在していると想定するべきで、ドラッグストアの品揃えが拡大するのはお客さんのニーズの拡大に合わせたもの。

生活に不可欠な医薬品で集客をして、食品や日用品が売れていることから、さらに衣料品、家具、家電を売るチャンスも無きにしも非ず。といえる。

近年、宅配サービスの普及と拡大も見込まれているのですが、ドラッグストアはいくつかの点でコンビニやスーパーよりも優位に立っていると言える。宅配を行うためにはたくさんの商品を管理する必要がありますが、お店の規模はコンビニよりも一回り大きく拡張性がありそうです。

また、コンビニは単に商品を買う場所ですが、ドラッグストアは健康についてコンサルティングを受ける場所でもあります。特に、高齢者の方は単純にドラッグストアの方を好むような気がする。

また、コンビニは単に商品を買う場所ですが、ドラッグストアは健康についてコンサルティングを受ける場所でもあります。特に、高齢者の方は単純にドラッグストアの方を好むような気がする。

フロントエンド商品は「食品」でいいのか?

ドラッグストアがここまで成長した理由の一つに、「食品の安売り」による顧客の囲い込みであることは確かです。小売を脅かす食品の低価格をフロントエンド商品とし、バックエンドに利益率の高い医薬品で儲けを出すこのスタイルも、そう長くは続かないかもしれない。

本来、ドラッグストアは医薬品で病気を治療するだけでなく、生活習慣を改善し病気を予防していくという機能を提供する立場にある。

しかしドラッグストアは「食品の安売り」が中心となっており、「食品を通じた病気予防」という観点の品ぞろえや売り方になっていない。

食品スーパーやコンビニエンスストアの領域と重ならない差別化された「食品売り場」の構築は急務だろうし、高齢化社会を迎えてドラッグストアに求められる機能としては食品の安売りばかりではないはず。

ドラッグストア業界では、2025年に売上高10兆円を目指すとされている。

今後、食品安売りのゲリラ軍から健康・美容を売る正規革命軍に姿を変えるには、食品の安売り一辺倒だけではない次なる一手が求められているのではないだろうか。