今ある知識を「新たな発想」にするための考え方

今ある知識を「新たな発想」にするための考え方

ある事柄や問題点を解決するにはそれに対して「なぜ?」の問いを立てる。

そして、その「なぜ?」の問題そのものの「上位の目的」を考えることで、新たな解決策や発想を見つけ出す事ができます。

その時、「上位の目的」を見つけ出す手段として、「抽象化」は一つの手がかりとなります。

抽象と具体

「抽象化」を理解するには、まず「具体化」について理解すればわかりやすくなるでしょう。

「具体化する」とは、ある事柄について具体的にする。つまり、分かりやすくはっきり示す表現にすることをいいます。

例えば、「私は電子機械器具がほしい」という説明では、大雑把すぎてどんな電子機器がほしいのかがわかりません。

もう少し具体的な説明にすると、「私は家電製品がほしい」

家電といっても掃除機や冷蔵庫、電子レンジなど様々で、家電製品の何がほしいのかがわかりません。

さらに具体的にしてみます。

「私は、掃除機がほしい」

もっと詳しく、

「私は、ダイソンの掃除機がほしい」

もっともっと詳しく、

「私は、ダイソンのコードレス掃除機がほしい」

この説明なら、わかりやすい表現を示したといえます。

「具体化する」とは、大雑把な事柄をよりわかりやすい(具体的に)表現にすることをいう。

「電子機械器具」という大まかな表現をより詳しい事柄に絞っていくことであり、具体化するには「複数の要素」を必要とします。

では、「抽象化する」とは、どういうことか?

簡単に言いますと、「具体化する」の逆を示すことをいう。複数の具体例から「共通点を抜き出す」ことです。

先の事例で説明すると、

というように、具体的なわかりやすい表現を大雑把な事柄で示すことをいいます。

抽象化してアイデアを見つけよう!

ある目的をするための「手段」があるとします。その「手段」の上位の概念に上げることを「抽象化する」といいます。

そして、抽象化して上位の概念をもとに「本来の目的」を考え直すと、他の共通した手段を見つけやすくなります。

一つの「手段」の他に他のアイデアを見つけたい場合、「他に何かいい方法はないかな~」とばかり考えていてもなかなか浮かび上がりにくいもの。

そこで、その「手段」の上位の概念に一旦上げる事で、共通した他の手段を発見しやすくなります。

例えば、会社に通勤する手段が「自家用車」だとします。

手段である「自家用車」の上位の概念は「乗り物」です。

そして、本来の目的は「会社に通勤する」なので、上位の概念である「乗り物」で考えると、バス・電車・バイクなど、他の共通した手段をみつけることができます。

豊富なアイデアとは、豊富な要素を必要とする。

自分がもっている「コマ」の数だけでは新しいアイデアは浮かびにくいため、他から「コマ」を借りてくるのが賢明というもの。

人間で例えるなら、一人のアイデアよりも、複数人のアイデアを出し合った方がより新しい発想を生み出すことができる。

「三人寄れば文殊の知恵」、現代的にいうと「ブレインストーミング」

( ※ ブレインストーミングとは、数名で1つのテーマに対し、お互いに意見を出し合う事で沢山のアイディアを生産し問題の解決に結び付けるディスカッションする手法をいいます。)

「抽象化する」とは、ブレインストーミングのように、ある一つの事柄に対し、共通する別のモノを発見し、新たなアイデアを出すことを可能とする。

抽象化思考でアイデアを生み出す方法

抽象化する方法で、新たなアイデアや発想を生み出すためには、次の「3つのステップ」がポイントです。


簡単な事例で説明してみよう。

もう一度、先ほどの「車で通勤する」という一つの事柄に対し、別のアイデアを考えるとしましょう。

具体的な事柄の対象を決める

まず、第1ステップの「具体的な事柄の対象を決める」

対象を「車」としよう。車以外で通勤するためのアイデアを見つけたいということです。

抽象化する

次に、第2のステップである「抽象化する」

「車」という具体的な表現を、上位の概念である「乗り物」に置き換えます。

抽象化するとは、このように、上位概念で示すこと。

「男」と「女」を抽象化すると「人」になる、「リンゴ」、「オレンジ」、「ぶどう」を抽象化すると「果実」になる。という解釈です。

話しを戻して、第3のステップにいきます。

再び、具体化する

具体的な「車」を抽象化して「乗り物」という表現に置き換えました。

次に行うのは、抽象化した「乗り物」を再び「具体化」します。

すると、「乗り物」の具体的なモノをあげてみると、車以外の「電車」「自転車」「バイク」「飛行機」「バス」・・・など、乗り物に属する様々なアイデアを発見することになります。

つまり、対象とする事柄を抽象化することで、そこで見つけた共通点を基に、一見まったく異なるように見えるものをつなげることで新しい発想を生み出すことができるようになる。

抽象化すると思いもよらないアイデアを発見できる

車以外の通勤手段は何もここまで問い詰めなくても思いつきますが、抽象化思考は、全く思いつかなかった他の手段を発見できる事さえ可能です。

「抽象化する」とは、例えば「野球」を見たら「ルールに沿った運動」の一種だと思うとか、「キャベツ」を見たら「野菜」だと思うとか、そういうことです。

つまり、ある観察された事象を、一段階上の概念の一種として認識すること、または、その観察された事象がどのような集団に属するかを判別すること、と言える。

例えば、誰しも子供の頃に「自転車を乗る練習」を経験された人は多いでしょう。

やり方は人それぞれでしょうが、一つに、「補助輪を付けて練習をする」というステップ。

これを抽象化すると、「バランス感覚を身に付ける」。

バランス感覚を具体化すると、運動している際に傾きを察知する平衡感覚だけでなく、「聞く」と「話す」の会話のバランス感覚、議論において主張するところと譲歩するところのバランス感覚など。

一見、異なる事柄ですが、自転車に乗る、会話上手になる、円滑な議論をするに共通することの一つには、「バランス感覚」が必要なのではないか、という発想が浮かんできます。

さらに、「補助輪を取り付けて練習をする」を分析してみると、初めは左右両輪で練習をして、慣れてきたら片方を取り外し、最終的には補助輪なしで乗れるようになる。

これを抽象化してみると、「左右のバランス」。

そこで、このアイデアを例えば、「英会話の学び」に適用すると、「左右のバランス」とは英会話で言えば何を意味するのかと考えます。

「スピーキングとリスリング」ではないかと「具体化」することができる。

「片方ずつ補助輪を外していく」というのは、個人の左右のバランスの癖(話すのが得意か聴くのが得意かといった)を考慮しながら、各々をサポートするために用意されたアプリや教材等を段階的に「外していく」(辞書を使わないようにするとか)ことに適用する発想が浮かびます。

「抽象化する」というのは、さまざまな見方がある。

例えば、「タクシー」を抽象化すると、貸切自動車運送、「土産売り場」を抽象化すると、特産品販売になりますが、タクシーと土産売り場の共通点を抽象化すると、「一見客」。

「一見客」に属するものを具体化すると、タクシーや土産売り場だけではなく旅館や料亭、ショップなど様々な事例を上げる事ができる。

他にも、「コピー機」と「髭剃り」の共通点を抽象化してみると、「消耗品で儲ける」となります。

これは、「本体を安く提供してその後の消耗品やメンテナンスで収益を上げるビジネスモデルであり、「替え刃モデル」とか「エサで釣るモデルなどと呼ばれる収益の上げ方のパターン。

髭剃りで有名なジレット社が、「髭剃りの本体を安く売って替え刃で儲ける」という戦略をとったことからこの名がついたとされる。

さて、何がいいたいと申しますと、2つ以上の共通点を見つけた際、それをさらに「抽象化する」ことで、全く異なる別の何かに応用することができる可能性がある。

大きな成果を上げているあの人とあの人の共通点はどこにあるのか?

それは例えば、「いつも将来の事について突拍子もないことを言っている」から、それを抽象化してみると、

「未来ビジョン」、つまり、「頭の中にはいつも実現した自分の未来がある」という解釈が思いついてきます。

他にも、あの商品やこの商品がヒットした共通点は何か?

などを探る際、単体で分析するよりも、抽象化し、広義に俯瞰してみるとより発見しやすくなり、さらにその共通点から自社の商品に生かせる可能性を秘めているという事。

思考の一方通行になってしまうと、たとえ知識が豊富にあろうと、斬新な発想はでてきません。反対に、限られた情報や知識しかなくとも、分析の仕方を多く知っている方がより効率的な発想ができます。

「抽象化する」とは、発想方法において非常に役立ちます。

ポイントは、「一言でいうとどういうことか?」「共通点のそもそもはなにか?」というように問いかけ、上位の概念から俯瞰する癖をつけてみよう。