ソーシャルゲームの巧みな収益構造

ソーシャルゲームの巧みな収益構造
執筆者イラスト
基さん

「無料」で儲けるフリー戦略。基本的なモデルは4つあります。今回は、その代表格ともいえる「直接的内部相互補助」について簡単に説明しよう。

帯電話やスマートフォンでの利用を対象としたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の一つ。コミュニティ、小説、有名人のブログ、占い、イラスト投稿などが楽しめるが、一番の売りは「無料ゲーム」だ。

定番ゲームから、RPG、シミュレーションゲームなど、数多くのゲームが無料で楽しめ、当時、10代の若者を中心に人気が広まった。

今では、ツイッターやインスタグラム、ラインなどSNSサービスは多様化し、若者の中では Tik Tok1)TikTokは若者を中心としたショートムービー・コミュニティー。同じ趣味の仲間を見つけたり、個性と創作性に溢れた動画を撮ったり、オリジナルサウンドを利用して様々なタイプの動画を作成することができるやSHOWROOM2)SHOWROOMはアーティストやアイドル、タレント等の配信が無料で視聴でき、さらに誰でもすぐに生配信が可能な、双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間です。 などの動画配信アプリが人気で、かつては無料ゲーム黄金時代の立役となった「モバゲー」は若干過疎ってきたかもしれません。

さて、 2006年2月より開始した 「モバゲー」の躍進で、一般にその名を広く知られるようになったDeNA社は、どういった仕組みで儲けていたのだろうか?

実は、モバゲーが流行していた当初より、無料で儲ける巧みな戦略手法がなされていた。

ソーシャルゲームが「無料」で儲ける理由

2006年2月に「モバゲータウン」というサービスが開始され、10代の若者を中心に人気の無料のモバゲーをするには、まずは会員登録が必要です。

会員の集客では、主に、ヤフー広告からの流入が多くあり、ユーザーは、広告をクリックし、新規会員登録すると、広告主はその見返りとしてDeNAに手数料を支払う。という仕組みです。

広告からの成果報酬としてその手数料で儲ける。という仕組みは、いってみれば一般的なアフィリエイト3)アフィリエイトとは、その広告をクリックしたユーザーが、広告主のサイトで商品を購入したり、サービスを予約・申込みしたりするなどの成果が発生した際、その広告主から成果報酬が支払われる広告手法をいう。と同じです。

モバゲーの儲けのカラクリは別のところにある。

有料アイテムの追加購入だ。

純粋な広告による利益が占める割合は決して大きくなく、収益の柱となっているのは、「ゲーム内アイテム」の売上と、ユーザーがSNSサービスのプロフィール等に使用する「アバター関連」の売上です。

ゲームはあくまで無料だが、武器などの追加アイテム等は有料だ。遊び進めていくうちに、より高得点を獲得しようとすると、それなりの「アイテム」が必要となるため、ついつい購入してしまう。というわけ。

気づくと自分でも気づかないうちに結構購入していて、後から後悔・・・なんて経験した方も多いはず。

このように、「ついつい買ってしまう」ひねりの効いた無料戦略の手口は、直接内部相互補助のキモといえる。

直接内部相互補助の構造と仕組み

直接内部相互補助とは、有料商品や有料サービスの購入を促すために、他の商品を無料にしておくことフリー戦略の代表的な手法の一つです。


無料を享受するものが、結局なんらかのカタチで代金を支払うことになる。

ただし、無料提供する商品やサービスに価値を感じられない場合、追加アイテムの購入は見込めない。ソーシャルゲームで例えるなら、離脱者を出さない工夫を施す必要がある。

つまり、「プレイヤーのゲームへのモチベーションをいかに刺激し、高め、維持していくか」ということに尽きるとされる。

多くのソーシャルゲームではチュートリアル4)
チュートリアルとは、アプリソフトやゲームなどの基本的な操作方法を教えてくれる教材のことをいう。内容としては基礎的な部分や応用的な操作まで順を追って解説している。
が用意され、ゲームの基本的な進め方をまずは手ほどきしてくれる。

その間、ネットの向こう側にいる運営担当者はチュートリアルの途中で離脱者が出ないよう、そこでの説明文の一字一句や画面上のボタンの配置、画面切り替えの演出などに細心の注意を払い、また、課金アイテムの売れ行きはもちろん、その利用状況などデータベース上のさまざまな数値を見て、ゲームバランスを調整していくとされている。

ソーシャルゲームは無料戦略の “ 進化系 ”

ソーシャルゲームのほとんどは基本、「無料ゲーム」を商品サービスとして運営を続けています。提供者側からしてみると、ユーザーが追加アイテムを買ってくれるまでは1円も入ってきません。

その間もサーバーの利用料金などインフラコストは掛かっていく。追加アイテムも1つ当り数百円単位であることがほとんどで、相当数が購入してもらわないと儲けがでない仕組みです。

しかし、ユーザーにいかにアイテムを買ってもらうかに、各ゲーム提供者は知恵を絞っている。

その巧みな儲けの仕組みのカラクリは儲けがでないどころか、実は大儲けしていることがわかる。

その儲けの仕組みの基礎的な部分のみ紹介しておこう。

ソーシャルゲームの巧みな “ 儲けのカラクリ ”

「無料ゲーム」と謳うこのソーシャルゲーム。本当は、ゲームができる環境を提供しているだけで、代金を追加で払わなければ、ゲームを楽しむことはできない仕組みになっている。

例えば、囲碁でいえば、碁盤(ごばん)はあるが、碁石(ごいし)ないのとおなじ。

少しわかりずらいと思うので詳しく説明しよう。

1つ例を上げてみます。

10個あるチーズを1個100円で売るとします。10人のお客さんが1つずつ買ってくれると、売り上げは1000円。ごく基本的な商売の仕方です。

ですが、「チーズはタダ(無料)で配ります。ただし1000円払ってくれたらこの場でチーズ1つを使ってチーズケーキを作ります。」

という商売をしたとしよう。

すると、チーズケーキを1つ買ってくれる人がいれば、他のチーズ9個をタダ(無料)で配っても、同じ1000円の売り上げが発生することになる。

さらに、残りの9個の中からさらにもう1つチーズケーキが売れたら、売り上げはなんと倍の2000円になるわけだ。

ソーシャルゲームの儲けの仕組みは、まさに、フリー戦略の進化系。

その類まれない仕組みを理解する事さえ難儀な内容だ。またの機会にひも解いてみようと思っています。

人物イラスト
孝タロー

なるほど~。ちょっとわかりずらいが、要は、単に「無料」といってもその裏側では複雑な仕組みが仕掛けられているということやね。

執筆者イラスト
基さん

そのとおり!今回は、「直接内部相互補助」というフリー戦略の内の一つを紹介したけど、まだ、「三者間市場」「フリーミアム」「非貨幣市場」など、まだまだ複雑なモデルがあるんだよ。

人物イラスト
孝タロー

え~。全部理解するのはちょっとむりですね。あまりに奥が深すぎて。

執筆者イラスト
基さん

そうだね。でもそれだけまだまだ未知の手法が潜んでいるということ。最近ではフリー戦略を使った「サブスクリプションサービス」が注目されいる。

人物イラスト
孝タロー

・・・・・???

執筆者イラスト
基さん

フリー戦略はデジタルが進化するとともに比例して進化する特徴があります。基本的な仕組みを理解しておくことは、未来の商いにおいて必ず活用できる事だといえるでしょう。

人物イラスト
孝タロー

そっか~。じゃぁまずは、基本的な仕組みの理解から。ですね。

執筆者イラスト
基さん

そう。このサイトで紹介するフリー戦略4つのモデルは基本中の基本。次回は、「三者間市場」について、楽しく学んでいこう!

References   [ + ]

1. TikTokは若者を中心としたショートムービー・コミュニティー。同じ趣味の仲間を見つけたり、個性と創作性に溢れた動画を撮ったり、オリジナルサウンドを利用して様々なタイプの動画を作成することができる
2. SHOWROOMはアーティストやアイドル、タレント等の配信が無料で視聴でき、さらに誰でもすぐに生配信が可能な、双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間です。
3. アフィリエイトとは、その広告をクリックしたユーザーが、広告主のサイトで商品を購入したり、サービスを予約・申込みしたりするなどの成果が発生した際、その広告主から成果報酬が支払われる広告手法をいう。
4.
チュートリアルとは、アプリソフトやゲームなどの基本的な操作方法を教えてくれる教材のことをいう。内容としては基礎的な部分や応用的な操作まで順を追って解説している。