「あいこ」になる確率を求める定理。

リズミカルで爽快な掛け声、三択という奇数のチョイス、公平に白黒つけたい時の最終手段。
これほどまでに手軽で簡単、あっという間に有無を言わさぬ決着が付いてしまうのだ。
じゃんけんってあるだろう。
時には表情・しぐさ・相手のパターンを読みとる強者達の心理戦を繰り広げ、時には「あっち向いてホイ」の前フリとしての振り向かせ権利の獲得争いとして。
さらに時として「最初は “ パー ” !やったー!俺の勝ち~」って、キミも一度はやったことあるだろう。
あと、じゃんけんする前に、 両手をクロスしてそのクロスした手をくるっと回転させ、その手と手の間の隙間をみるアレ。
ラグビーの五郎丸選手のポーズは五郎丸選手のクセを直す効果があるというが、じゃんけんする前にのぞくアレ、何がみえるんだ?
「見えた!」っていう野郎に、僕はことごとく勝ち倒してきた経験が多々あるのだが、アレをやって、隙間から何を見させられたのだ?
まぁまぁ、勝利をもぎ取るプロセスはどうあれ、誰もがなじみ深い「じゃんけん」は、「チョキ」は「グー」には勝てない、「パー」は「チョキ」に敗北する。
そして、岩石をも砕く鉄拳「グー」は紅葉のような小さな「パー」にさえも、じゃんけん勝負のリング上では無力なのだ。
この定められたルールは時代を超えて受け継がれてきた。
じゃんけん。それは「ゲーム」
しか~し!
いかなる場合も白黒決めるじゃんけんにも、勝敗つかないこともあるという。
“ あいこ ” という判定だ。
「じゃんけん、ポン!(ほい!ともいう)」
「あいこで、ショ!」「ショ!」ってなんだよ?
「ショ!ショ!ショ!ショ!しょ!今でしょ?いまさら今でしょはないでしょ!!」
地方によっては、あいこが2回以上になると、「しょっしょでしょ!」ともいうらしい。
あいこで、ショ!の「ショ」とは、「あいこ(だったの)で、(もう一度勝負しま)しょ」という通説があるというが、「しょっしょでしょ!」だとどうなる。
「もう一度勝負しましょで、もう一度勝負しましょになったので、さらにもう一度勝負しましょっ!」、と紐解くことができるのである。
僕のじゃんけん歴は、おそらくだが35年は下らない。
そして、ようやくわかったんだ。じゃんけんが、これほどまでに、親しまれ、地方独自のルールや掛け声が繰り広げられ、じゃんけんという「ゲーム」として楽しめるのは、「あいこ」があるからなのだ。
じゃんけんって、勝敗を決めるための手段にすぎないが、そこに「あいこ」というルールが入る事で、「ゲーム」となる。
エキサイティングまるだしでも、夢中になっちゃう「あそび心」ははずせない「じゃんけんゲーム」なのだ。
「あいこ」になったあと、相手はどう攻めてくるのか?
「日本じゃんけん協会(そんな協会があるのかよ)」による、あいこになった時の勝利の法則によると次のように記されている。
あいこになった場合、次回相手は違う手を出す確率が高い。ならば「グー」であいこになった時、次回、相手は「チョキ」か「パー」をだす確率が高いため、あいこ手の「グー」にまける「チョキ」をだせば勝率が上がる。
但し、「チョキ」からもう一度握り直す「グー」は出にくく、「パー」か「チョキ」の頻出率が上がる。つまり「チョキ」であいこになった場合は、「チョキ」を出せば勝つ確率が高い。
ほほぉー 。確かに理屈はわかる。
だが、それは1対1には有効だが、3人、5人、など人数が多い場合、その法則は有効なのか?
O.K .ここは解明すべきだ。
という事で、今回は「あいこ」の確率を論理的に割り出してみるぜ!
(※尚、グーチョキパーの掛け声は、地方や海外、時代により異なりますが、ここでは「日本じゃんけん協会」に基づくルールを取り上げます。)
こっからは、おそろしくどーでもいい話がはじまります
ではまず、2人でじゃんけんをしたときの、あいこになる確率を求めてみるぜ。
全ての出し方の総数は次のパターンになる。
自分が勝つのは3通り
グー・チョキ、チョキ・パー、パー・グー
負けるのは3通り
グー・パー、パー・チョキ、チョキ・グー
あいこになるのは3通り
グー・グー、パー・パー、チョキ・チョキ
全ての出しパターンは9通り。
計算式で割り出すと、
3×3=9通り
では、2人があいこになる確率を求めます。
あいこになるのは3通りなので、
3(あいこ)÷9(総数)
=33.33…
約33%になります。
3分の1の確率であいこになる計算が割り出された。
つまり、サザエとの一発勝負は3分の1の確率でドローになる。月に4または5度の対戦中、あいこになる確率はわずか「6%」という計算になる。
その1週間は、モヤモヤしたままで来週の勝負まで過ごさなくてはならない。
じゃぁ次。3人、いくぜ。
3人でじゃんけんをした時のあいこになる確率を見てみよう。
3人の出しパターンの総数は、
3×3×3=27通りです。
3人があいこになるのは、
グー・グー・グー
チョキ・チョキ・チョキ
パー・パー・パー
の3通り。
3人の組み合わせを割り出すと、
3×3=9
3人じゃんけんのあいこの総数は9通りです。
では、あいこの確率を求めると、
9(あいこ)÷27(総数)
=33.33…
約33%になります。
同じなのか。2人じゃんけんと同じ、3分の1の確率であいこになる計算が割り出された。
クソ~、いよいよどーでもよくなってきたぞ。じつは、始めからどーでもいいことだったかもしれないぞぉ。
(キミはなぜに「あいこ」が出る確率なんて割り出しているのかね?)僕の中の僕がそう問いかけてくる。
何をいまさらそんなことを言ってやがる。次は4人の「あいこ」はどうなのかを割り出すんだろう?
やる。やるよ。4人の「あいこ」の確率、いくぜー!!
途中経過をご連絡いたします、まもなく4人じゃんけんで「あいこ」になる確率を割出中
4人じゃんけんの場合になると、あいこになる確率を求めようとするとかな~りややこしいので、「1回勝負で決まる確率」を先に割り出してみます。
4人じゃんけんで1回で勝負が決まるパターンは例えば、
グー・チョキ・グー・チョキ
など、出し手が2通りになった場合のみです。
わかりますか?ややこしいですね。
例えば、
グー・チョキ・パー・グー
になった時、チョキを出した人だけが負けて、残りの3人は「あいこ」になってしまいます。
なので、1回で勝負を決めるパターンは、
グー・チョキ・グー・チョキ
のように2つの出し手がそろった時のみです。
4人いるので、1回勝負で決まる総数は、
2×2×2×2=16通りになります。
そして、ここから全員が「グー」と全員が「チョキ」という「あいこのパターン」2通りを引かないといけない。
よって、4人じゃんけんをした場合、「グー・チョキ」の組み合わせで、1回で勝負が決まる数は、
16通りー2通り=14通り
となる。
いまは、「グー」と「チョキ」に組み合わせパターンで考えましたが、他の
「グー」「パー」
「チョキ」「パー」
についても同じように考えることができるので、1回勝負が決まる総数は、
14×3=42通りになります。
4人の出しパターンの総数は、
3×3×3×3=81通りなので、
1回勝負で決まる確率を計算すると、
42÷81=51.85…
51.85% が1回勝負できまる確率。
これより、あいこになる(勝負が決まらない)確率は、
1-51.85% = 48.15%
ようやく答えがでました。
4人じゃんけんであいこになる確率は、
48% ・・・です。
2人では「33%」、3人でも「33%」、4人だと「48%」
じゃぁ、5人だとどうか?
知りたい? だろうな。
わかった、では5人でじゃんけんした時の「あいこ」の確率はいくらになるのか。
やるわけねーだろ! ごめんな。
あるんかよ!方程式なんて便利なヤローが
お疲れ様です。(ここまで読んでくださっているかどうかはわかりませんが)
おそらくですが、この説明を完全に理解する必要はないと存じます。
というよりか、しない方が賢明です。
どうやら私は、世の数学者をなめていたようです。
そうです、あるのです。
ちゃんと、あいこの確率を割り出す方程式が。
それがこれ。
1-[{3(2^n-2)}]÷3^n
おぉ、いかにも「ザ・方程式」だよ。
というか、もっとわからないよ。
なので、少し説明しておきましょう。
「n」には、じゃんけんをする人数をいれます。
例えば、4人なら、
1-[{3(2^4-2)}]÷3^4
です。
「2^n」というのは、2のn乗の事なので、
「2^4」は「2×2×2×2」です。
四則演算の順序通りに計算をしてみると、
2×2×2×2-2=14
14×3=42
3×3×3×3=81
42÷81=51.85%
1-51.85% = 48.15%
あっさりと結果を割り出すことができました。
同じように、「n」に7人、10人、20人を割り出すとどうだろうか?
じゃんけん人数が7人になると、
あいこの確率は、82.72%。
これは5回に4回はあいこになる確率です。
人数が10人になると、あいこになる確率は、94.81%。
これでは、20回やってやっと1回決まるかどうかです。
20人では、99.9%があいこです。
1000回やって決まるかどうかです。
結論です。
じゃんけんはなるべく「少人数」で決着をつけよう。
4人では、2回に1回の確率で「あいこ」になる。
3人が妥当かと。
おそらくだが、数学者ブルース・パスカルはこう力説するだろう。
「10人以上のじゃんけんは愚かである」
・・・と。
今回の「確率」の授業はここまです。
ここまで読んでくださった方、
ほんっっっっっとに、ありがとうございます!!